「また道は開ける」不登校から立ち直った卒業生も…“学校生活をやり直せる学校”分教室「ねいろ」世田谷区独自の取り組みとして注目
“学校色”は可能なかぎり排除
分教室である「ねいろ」は学校の校舎内ではなく、教育会館の2階に教室などが設けられている。不登校の生徒の中には、学校の校舎、通学路、校門などいわゆる“学校”をイメージさせるものに、抵抗を感じるケースもあることなどから、学校の“外”での設置となった。 学校とは思えない間取りになっていて、入口を入るとすぐ、プレイルームと呼ばれる広いオープンスペースがある。そこには、ボードゲームが楽しめる机、卓球台があり、まさに遊技場だ。 もう1つの特色は、くつろぎスペース。1人になりたくなった生徒が学校の中で静かに過ごせ、くつろげる居場所として活用されている。 生徒からは、「休み時間は15分間、友達とゲームができて楽しい」「休み時間に先生たちと一緒に遊べる」「ピアノを弾く生徒や、読書をする生徒、それぞれ自由に過ごしている」などの声が上がっているほか、くつろぎスペースについて、ある生徒は「授業で疲れた時や、休み時間にみんなと遊ぶのではなく、1人でのんびりしたい時にありがたい居場所となっている」と語っている。
不登校になった生徒が「リスタート」する場所
世田谷中学校 前田浩校長: ねいろは、不登校になった生徒がリスタートする場所です。授業中でも子供たちが自由に質問できる。わからないことをオープンにできる環境を、クラスを少人数にすることで可能にした。 大きな特徴の1つが、学年を超えて休み時間に遊んだり、小学校のように先輩後輩ではない、関係性が構築されている。これは不登校という同じ体験、経験した生徒たちの間で結ばれた共助関係が生まれている。 「ねいろ」が成功している主な理由として、少人数制学級で生徒が自分のペースで学べる環境がある。 また、学年を超えた交流授業で、先輩・後輩という上下関係がない環境や、校舎内に生徒が1人きりになれる居場所を作るなどの点があげられている。 自分の子どもが突然不登校になってしまい、多くの保護者が戸惑い、悩むからこそ、先行きが見えない不安と戦う日々を経験し、子どもが学校に復帰できた時の保護者の喜びは、とても大きいという。