「男と女、どっちがつらい?」そんな不毛な争いはやめて【作家アルテイシアに聞いた】
ジェンダーギャップ・ランキングにおいて、日本は146カ国中125位。ジェンダーの問題について発信するアルテイシアさんのインタビュー、後編の今回は私たちが連帯するためにできること、そしてフェミニズムのスローガンのひとつである「個人的なことは政治的なこと」について語っていただきました。 【画像】アルテイシアさんの著作、おすすめはこれ!
日頃から主語を男女逆で考える思考を
――女性間の分断が起こらないように、私たちが日常から意識できることはありますか? アルテイシアさん:「主語を男女逆で考えてみる」というクセをつけると、世の中を見る解像度が上がります。私自身、若い頃は「〇〇ちゃんは女子だけど、同期でいちばん優秀なんだよ」とか言っていました。「男子だけど優秀」とは言わないわけで、私の中にも「女は男より劣っている」というアンコンシャスバイアス(無意識の偏見や差別意識)があったんです。ジェンダーを学ぶと、そうしたバイアスに気づいて「学び落とし」ができるんですよ。 若い頃はセクハラに遭っても「自分が悪い」と自分を責めていたけど、フェミニズムを学んで「性加害するほうが悪い」「それを容認・助長している社会が悪い」と気づいて、生きやすくなりました。自責や罪悪感から解放され、かつ政治や社会問題にも興味が向くのではないでしょうか。「個人的なことは政治的なこと」。これはフェミニズムのスローガンのひとつです。「被害に遭うのは自己責任、自分には関係ない」と思考停止するのではなく「人の尊厳を傷つける行為は許さない」という意識を持って、連帯していける社会がいいですよね。 ――身近にセクハラやDV、そして性被害に遭った人がいたら、どのように声をかけるべきでしょうか。 アルテイシアさん:まずは相手に寄り添って話を聞くこと。それから、ワンストップ支援センターなどの相談窓口を紹介するのがいいと思います。 性暴力の被害者は「信じてもらえないんじゃないか」「責められるんじゃないか」と不安を抱えて、「私が悪かったからこんなことになってしまった」と誰よりも自分を責めています。だから「あなたは悪くない、加害者が悪い」「何があっても味方だよ」と伝えてください。支えてくれる味方がいること、被害者を孤立化させないことが大切です。