「男と女、どっちがつらい?」そんな不毛な争いはやめて【作家アルテイシアに聞いた】
フェミニストとは、「性差別に反対する人」
――フェミニズムって難しそうとか、フェミニストって怖いというイメージを抱く人もいますよね。 アルテイシアさん:フェミニズムはバックラッシュの歴史ですが、いまだに日本ではフェミニストを名乗ると叩かれることがあります。「女に権利を与えたくない」「生意気な女の口を塞ぎたい」という人はどの時代もいますから。 だから私はなるべくシンプルにわかりやすく説明するようにしてます。「フェミニズムとは、性差別をなくそうという考え方。だから、フェミニスト=性差別に反対する人。その対義語はセクシスト(性差別主義者)です」と話すと「自分もフェミニストだと気づきました」とか「フェミニストのイメージが変わりました」と感想をもらうんですよ。 私自身、フェミニズムに出合って救われました。フェミニズムを学ぶことは人権を学ぶことなので「自分はこんな目に遭っていい人間じゃない」と怒れるようになった。理不尽な目に遭って怒れるのは、まっとうな自尊心がある証拠ですよね。まずは自分が自信をもって生きるために、フェミニズムを役立ててほしいです。 女性差別が強い国ほど女性の自己肯定感が低いと言われていますが、国民の幸福度ランキング上位は、ジェンダー平等が進んでいる国なんです。女性や性的マイノリティが差別されない社会は、みんなの人権が大切にされる社会であり、みんなが生きやすい社会なんですよ。 日本社会は「家のことを妻に丸投げして長時間労働できる男性」を基準に作られているけど、それって男性もしんどいですよね? フェミニズムと聞くと「権利を奪われる」と考える男性がいるけど、そうじゃなく「奪われていた権利を取り戻す」と考えてほしいです。家族や友人と過ごす時間とか、子育てして子どもの成長に立ち会うとか、心身の健康を大切にするとか、そういう権利を取り戻すんだって。 『ヘルジャパンを女が自由に楽しく生き延びる方法』の帯にも「男と女、どっちがつらい? そんな不毛な争いはやめて、みんなでジェンダーの呪いを滅ぼそう!」と書きましたが、ラピュタのように手を取り合って「バルス!」と滅ぼしたいですよね。 アルテイシア 作家。著書に『ヘルジャパンを女が自由に楽しく生き延びる方法』『田嶋先生に人生救われた私がフェミニズムを語っていいですか!?』『生きづらくて死にそうだったから、いろいろやってみました。』など多数。「オッス、おらフェミニスト!」と高らかに宣言し、親しみやすい軽やかな言葉でジェンダーの問題に関する発信を続けている。 取材・文/高田茉莉絵