ガスリー、フェラーリを抑え込んで5位入賞……サンパウロに次ぐ今年最良の1日に「カルロスを抑え込むのがどれだけ重要かは分かっていた」
アルピーヌのピエール・ガスリーは、F1カタールGPの決勝レースを5位でフィニッシュした。3位に入ったサンパウロGPには成績の上では及ばなかったものの、同様に最高の1日になったと語った。 【ランキング】コンストラクターズ6位争い、アルピーヌが1歩抜け出す:F1コンストラクターズランキング 今シーズンのアルピーヌは開幕から厳しい戦いを強いられていた。しかしサンパウロGPでエステバン・オコンが2位、ガスリーが3位とダブル表彰台を獲得したことで、一躍コンストラクターズランキング6位争いへの参戦権を手にした。 ただハースやRBの方が絶対的なパフォーマンスは高いと見られており、アルピーヌにとっては不利な戦いになるようにも見えた。しかし今回のカタールGPでガスリーが5位に入賞し、大量10ポイントを獲得。チームの獲得ポイントを59まで伸ばし、ハースに5ポイント、RBの13ポイントの大差をつけ、最終戦アブダビGPを迎えることになった。 ガスリーは特にレース終盤、パフォーマンス面では当然先行しているはずのカルロス・サインツJr.(フェラーリ)を抑え切るという素晴らしい戦いを披露。望外の結果を手にすることにつながった。 「リフト&コーストしながらフェラーリと戦うのは、通常だったらうまくいかないもんだ」 そうガスリーは語った。 「でも僕はできる限りその状況をマネジメントした。なんとか5位を手にしたかったんだ。そのことが、チャンピオンシップでどれほど重要かは分かっているからね」 「とてもレースを楽しめた。レース中ほとんどの時間を、全てのマシンがグリップの限界で走り、全てを引き出そうとしていた。タイヤのグレイニングとデグラデーションをコントロールしていたけど、それは素晴らしいチャレンジだった」 「とても力強いレースができた。(表彰台を獲得した)ブラジルでのレースに次ぐ、シーズン最高の1日だった。1年を通じてパフォーマンスを上げることができたことについて、チームのみんなを誇りに思うよ」 速いサインツJr.を、リフト&コーストしながら抑え切るのは至難の業だ。チームから「リフト&コーストするように」という指示が飛んだのは、タイヤを労わるためだけでなく、燃費をセーブする必要もあったようだ。 ただこれについてガスリーは、非常に楽しい戦いだったと改めて語った。 「彼(サインツJr.)が僕を抜こうと、いい走りを見せたと思う瞬間が3回はあったと思う。僕はその時、イン側のラインを走るのか、それともアウト側のラインを走るのかを決めなければいけなかった」 「そのコーナーには、複数のラインがあるんだ。だから最初はイン側に行き、その後はアウト側を走り続けたと思う。彼はちょっと驚いていたよ。そして最後はイン側のラインをとった……僕のディフェンスについてはかなり満足している。彼が動けないように、マシンの進路を取ることができた」 ただサインツJr.のフェラーリの方が速いのは明らかであり、緊張状態が続いたとガスリーは明かす。 「でも彼の方が速かったから、緊張したよ。でも、最終コーナーで彼が1回ミスをしたことがあったと思う」 「彼はそこで1秒失った。僕はそのタイミングで少し加速して、差を少し広げることができたんだけど……彼はすぐに真後ろまで迫ってきた。大変だったけど、今年は5位を争うようなレースがあまりなかったから、全力を尽くさなければいけなかった。今回のようなレースは、本当に楽しかったね」 なおチームのオリバー・オークス代表は、レース序盤にガスリーにプレッシャーをかけていたハースのケビン・マグヌッセンにプレッシャーをかけ、ピットストップに追い込めたことも大きかったと明かした。 「最初のスティントでピエールは、マグヌッセンにプレッシャーをかけ、タイヤ交換に入るようにプレッシャーをかけた。でも、我々は走行を続けた。それが、レースの重要な部分だったと思う」 オークス代表はそう語った。 「プレッシャーのかかる瞬間にそういう判断を下すこと、そしてレースの終盤にその全てをマネジメントしたこと……少しコンサバになる必要があった時もあり、それは苛立たしかったけど、ピエールは本当に素晴らしい仕事をした」 なお先にピットに入った理由について、マグヌッセンは次のように説明している。マグヌッセンは最終的に9位だった。 「タイヤの寿命を心配していたんだ。デグラデーションではなく、ブローアップしてしまうのを、一番心配していた。すごく速く走っていたからね。ここはタイヤに厳しいサーキットだから、バーストしてしまうリスクがあることは分かっていた……そのリスクを負うことはできなかった」 「アルピーヌは、その状況でも失うモノがずっと少なかったから、そのままコースに留まった。そして、再び運が彼らに味方したんだ」
田中健一, Stuart Codling