「税金滞納(社会保険料含む)」倒産が過去10年で最多 前年同期から2.0倍の165件
2024年1-11月「税金滞納」倒産
税金や社会保険料の滞納が一因の企業倒産が急増している。11月は10件(前年同月比9.0%減)発生し、2024年1-11月の累計165件(前年同期比103.7%増)に達した。すでに年間最多だった2018年の105件を7月に抜き、更新を続けている。 円安に伴う物価高や人材確保のための賃上げなど、中小・零細企業の収益が厳しさを増すなか、過剰債務の解消も先送りされ、運転資金の確保を優先せざるを得ない苦悩を示している。また、2024年10月から従業員数51人以上の企業で働く短時間労働者まで拡大され、今後の動向が注目される。 資本金別は、1千万円未満が85件(前年同期比117.9%増)、1千万円以上が80件(同90.4%増)で、事業規模を問わず急増している。負債額別では、1億円以上が101件(同140.4%増)で6割(61.2%)を占め、過剰債務と税金滞納が負債を膨らませている可能性がある。 物価高や人件費などのコストアップが、資金繰りを圧迫している企業は多い。企業が一定期間、納税が遅れると金融機関や取引先に「取引照会書」が関係機関から送付される。照会書が届くと、取引先は取引の見直しや早期回収などに動き、レピュテーションリスクも引き起こしかねない。 納税は義務だが、納税意思を持ちながらも資金余裕のない企業への徴税は、事業存続が困難に追い込まれないよう企業と関係機関、金融機関の密なコミュニケーションが欠かせない。 ※本調査は、2024年(1-11月)の全国企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「税金滞納」関連を集計・分析した。