「GC注記」「重要事象」記載の上場企業67社 減少が鮮明 コロナ禍から約3割減
2024年9月中間決算 上場企業「継続企業の前提に関する注記」調査
2024年9月中間決算を発表した3月期決算の上場企業約2,300社のうち、決算短信で「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン注記)」(以下、GC注記)を記載したのは23社(前年同期24社)だった。また、GC注記に至らないが、事業継続に重要な疑義を生じさせる事象がある場合に記載する「継続企業に関する重要事象」(以下、重要事象)は44社(同53社)だった。 11月に倒産した日本電解(株)(東証グロース、筑西市)も、GC注記を記載していた。上場企業倒産のうち、粉飾決算が発覚して決算を訂正しないまま倒産した2社をのぞけば、2009年11月に発生した(株)ロプロ(当時東証・大証1部、会社更生法)以降、34社連続で倒産直前の決算でGC注記・重要事象を記載している。 2020年以降、コロナ禍の影響でGC注記・重要事象の記載企業は大幅に増加した。だが、2023年5月の5類移行後は徐々に収束をたどり、円安を追い風に企業業績も回復すると減少傾向が鮮明になってきた。 一方、輸入に依存した資材や燃料などの価格が上昇しているほか、人件費などのコストアップが利益を圧迫し、苦境に立つ上場企業は一定数存在する。赤字経営から脱却できず、抜本的なビジネスモデルの転換が避けられない業績不振の企業も存在しており、これらの企業の破たんリスクは引き続き高まっている。 ※ 本調査は、全証券取引所に株式上場する3月期決算企業を対象に、12月5日までに発表した2024年9月中間決算(2025年3月期第2四半期決算)の決算短信に「GC注記」及び「重要事象」を記載した企業の内容、業種などを分析した。
GC注記記載の日本電解が今年初の上場倒産
GC注記・重要事象を記載した上場企業は合計67社だった。コロナ禍以降のピークだった2022年3月期本決算(94社)に比べると27社(28.7%減)減少した。とりわけ、半期前の前年度本決算(2024年3月期、78社)からは11社減少している。 GC注記企業は23社で、前年度本決算と比べて1社減少した。このうち、車載電池用の電解銅箔メーカーの日本電解(株)は11月27日、東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、今年初の上場企業倒産となった。 重要事象の記載企業は前年度本決算の54社から10社減少し、44社となった。半期の間に10社以上が減少したのはリーマン・ショック後の2010年9月中間決算以来、14年ぶり。再建に取り組んでいた企業の業績が回復し、重要事象が解消するケースが多かった。