ホンダ新型「シビックRS」のプロトタイプに乗った!「タイプR」とは違う気持ちよさが楽しい! エンジンレスポンスの鋭さに感動【Key's note】
タイプRほどの刺激は欲しくない走り好きにオススメ
レーシングドライバーであり自動車評論家でもある木下隆之氏が、いま気になる「key word」から徒然なるままに語る「Key’s note」。今回のキーワードは「ホンダ シビックRS」。ホンダを代表する名車「シビック」、同車を愛するファンにはたまらないグレード「RS」が現行モデルにも登場します。プロトタイプに試乗したレポートをお届け。タイプRとも違う、RSの走りとは? 【画像】スポーティな装い! 発売待ち遠しい「シビックRS」プロトタイプの内装を見る(14枚)
RSの名に恥じない仕上がりに
ホンダ「シビック」のマイナーチェンジでもっとも興奮したのは、「RS」グレードの復活だ。 1972年誕生の初代シビックに、走りの性能を際立たせたRSが存在していた。そのポジションを現行ではタイプRが踏襲しているように思われている。だが、タイプRは超激辛スポーツにまで昇華し、ボディサイズも拡大している。それを過剰すぎると持て余してしまい、シビックが描くスポーツの世界に踏み切れないユーザーも少なくないと聞く。 ターゲットはそこだ。タイプRほどの過激な性能は求めないものの、標準グレードで満足できない、いわば「ちょうどいい」スポーツ性能を盛り込んだのがRSというわけなのだ。 フロントグリルは「アコード」風の台形になり、より精悍な顔つきになった。ディテールはほとんどブラック化している。インテリアもブラックを基調としており、パイピングはレッド。いかにも走りのモデルであることを主張する。 搭載するエンジンは直列4気筒1.5Lターボであり、6速MTと組み合わされる。ハイブリッドの設定はない。182psの最高出力と240Nmの最大トルクに変更はない。 そう、ここまでの情報から想像できるのは、動力性能や操縦性はこれまでの標準のシビックのレベルであり、アピアランスだけを強調した「似非スポーティモデル」。ただ雰囲気だけをアグレッシブにしただけの軟弱モデルだと……。だがホンダは、数値に現れない特性を徹底的に磨き上げたのだ。 走りはじめた瞬間に驚かされたのは、エンジンレスポンスが鋭いこと。アクセルペダルの踏み込みに対して軽やかにパワーがみなぎる。スペック上での差はないが、パワーアップしたかのような印象だ。しかも、アクセルオフでの回転のドロップが素早い。フライホイールの回転慣性重量を低くしたようだ。 従来モデルで不満だったのはエンジン回転の鈍さだった。回転の上昇もドロップも緩慢だったから、走りが興醒めだった。今回のRSではそこにメスが入れられた。回転計の針が躍動する感覚は、RSの名に相応しい。 ホンダの6速MTは、世界一ではないかと思うほど小気味いい。ストロークが少なく節度感がある。スパスパと決めると快感が走る。その喜びを、一層ダイレクトに味わえるようになった。感動的ですらある。 開発陣に聞けば、フライホイールを軽くしたばかりか、エンジンマッピングにも手を加えている。エミッションとのバランスを探るのに苦労したという。ただ、軽量素材に変更しただけではなく、深いところまで細工の手は行き届いているのである。
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