腸年齢が35歳以下だった60代夫婦。二人に共通していたある生活習慣とは?内視鏡専門医「腸内環境は何歳になっても改善できる」
◆腸年齢が若い夫婦の生活習慣 消化酵素もたんぱく質からできているのですから、たんぱく質を十分に摂ることで消化機能は改善されます。 さらに、腸内細菌にエサである乳酸菌や食物繊維を与えれば、善玉菌が増え、腸内環境はよくなっていくでしょう。 私たちのクリニックで35~75歳の患者さんたち約100人の腸内フローラ検査をしたところ、68歳男性と69歳女性の2人だけが飛び抜けて善玉菌(ビフィズス菌)の割合が高いという結果が出ました。35歳の人より間違いなく腸年齢が若かったのです。 実はこの2人は生活を共にするご夫婦です。このご夫婦に共通する生活習慣は、 (1)1日3食欠かさず食べる (2)毎日必ず野菜類を食べる (3)毎日必ず運動をする の3つ。つまり、たとえ腸内環境が悪くなる60歳を過ぎても、腸が元気になる生活をしていれば、腸内環境をよい状態に維持できるし、若返らせることも可能なのです。
◆素朴なギモン。腸内細菌はどこにいるのか? 「腸内細菌はどこにいるの?」と聞かれて、腸の管の中にフワフワと浮かんでいる様子を思い浮かべた人もいるのではないでしょうか。 でも、それは誤解です。腸内細菌は腸内の粘液層に棲んでいます。 粘液層とは、腸壁の細胞から分泌される粘液の層で、たんぱく質と糖質が結合したムチンと呼ばれる成分でできており、内側のぶ厚い層と外側の薄い層の2層になっています。 腸に限らず体の粘膜はとても薄く、か弱い組織です。特に腸の粘膜は吸収とブロック(侵入を防ぐ)という、相反する役目を担っています。 おまけに腸内には良い菌だけでなく、大腸菌などの悪い菌もたくさんいて、とても危うい環境です。 そこで重要な役目を果たすのが、粘液がつくり出す粘液層です。腸内細菌はこの粘液層の中でエサを食べたり、増殖したり、働いたりしているのです。
◆腸の粘液層を維持するためには しかし、腸粘液が少なく、粘液層が薄かったり、弱かったりした場合はどうでしょう。腸内細菌は定着することも増殖することも難しく、どんどん弱り、数が減ってしまうでしょう。 それだけでなく、腸内細菌はエサが不足していると粘液層を食べてしまうのです。 粘液層が食べられて減っていくと、腸内細菌は棲む場所が減って数が減少。そして腸内環境が悪化するという悪循環に陥ります。 腸の粘液層をしっかりと維持し、腸内細菌が快適に過ごせる環境をつくるためには、やはり十分な栄養が必須! まずは腸の細胞がスムーズに生まれ変われるようにたんぱく質を補給し、腸内細菌の好物である乳酸菌や食物繊維などを摂り入れることが欠かせないのです。 ※本稿は、『たんぱく質と腸の新常識: 絶対に漏らしてはいけない 新しい腸活とたんぱく質の正しい摂り方』(Gakken)の一部を再編集したものです。
平島徹朗,秋山祖久
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