就活生「私の“強み”は“コミュ力”です」⇒不採用へ…自ら〈お祈り〉を招くNGワード【キャリアコンサルタントが解説】
就活の自己PRで「私のアピールポイントは〇〇力です!」や「私の強みは〇〇力があることです!」と断言するのは危険なので、極力控えてください…。そうアドバイスするのは、10回転職したキャリアコンサルタント・森田昇氏。同氏は、ここまで失敗を重ねた人間だからこそ、避けるべき「就活で失敗する方法」を伝えられるはずだと自負します。森田氏の著書『生涯収入を最大化する「就活の技法」』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、見ていきましょう。
自己PRを「〇〇力」でまとめてはいけない
前回はES3点セットの1つ、「学生時代に力を入れたこと(略称:ガクチカ)」について具体的に解説しました。今回はES3点セットの2つめ、「自己PR」についてです。 自己PRとは、その名の通り自分のアピールポイントを訴えるものです。ガクチカが過去のエピソードに対して、自己PRは現在の自分が持っている、企業に評価されたい・活かせるものとしてアピールするものです。そのため、アピールポイントを論理的に説明できるよう、構文が決まっています。 【図表】の通り、PREP法というフレームワークを使います。自分の主張を伝えるのに社会人も良く使うフレームワークです。1つのアピールポイントを2つの視点から強調すると説得力が増すので、なるべくならガクチカと異なるエピソードで理由や具体的な取り組みを考えたいところです。 就活における自己PRには1点気を付けなければいけないことがあります。ズバリ、最初の結論であるアピールポイントを「〇〇力」でまとめてはいけません。「私のアピールポイントは〇〇力です!」だったり「私の強みは〇〇力があることです!」と断言するのは危険なので、極力控えてください。
入社前の就活生に「仕事で活かせる強み」はまだない
危険な理由はこれです。どんなに自己分析を深く行って気付いた先天的・後天的な強みでも、親兄弟や先輩、教師や友達といった他者視点から認められた他己分析での強みでも、何なら弱みを反転した強みでも、学生の時点で自己認識できた強みなんて、体力以外は到底仕事に活かせるレベルにはないからです。働き方改革やデジタル技術の進展による仕事の質の変化で、今や体力もそこまで活かせる強みではなくなりつつあります。 ガクチカとして学業で取り組んだこと、部活動で掲げた目標、アルバイトで直面した課題、何なら遊ぶうえで感じた問題点、そういったことを乗り越えて得られた学びや能力は本当に尊いものです。アピールしないともったいないことも確かです。ですが、それらと仕事はまったくの別物です。レベルも違いますし、何より世界が異なります。強みとして通用しません。 異なる世界でも活かせる強み、業界や職種が変わっても持ち運びができる職務遂行上の「仕事をうまくやる力」に社会人基礎力、ポータブルスキルがありましたね。しかし、読んで字のごとく社会人の実務経験の中で取得・磨かれるものであり、学生のうちに身につけられるものではありません。 それに、強みと思っている能力が本当に志望する業界や企業の役に立つものなのかは、職種によっても配属先によっても、与えられた仕事によっても変わりますから、就活の時点では採用担当者にも面接官にもわかりません。 仕事に活かせるレベルまで達していない、本当に活かせるのか不明な能力をアピールしてしまうと、書類選考では「言語化力が低い」とお見送りに、面接では厳しく突っ込まれるのがオチです。新卒一括採用の就活では、現時点で就活生が保有している強みは評価されません。ガクチカで確認されているものと同様、自己PRも伸びしろ優先だからです。 以上のことから、自己PRで訴えるアピールポイントは決して強みではなく、ガクチカでの学びによって得られた心構えや態度を表す際の表現、仕事に対する「〇〇する姿勢」が適しています。ぜひお使いください。
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