就活生「私の“強み”は“コミュ力”です」⇒不採用へ…自ら〈お祈り〉を招くNGワード【キャリアコンサルタントが解説】
自己PRで重要視されるのは「強み」ではなく「論理性」
自己PRで採用担当者や面接官がどこを重要視しているのかというと、強みではありません。アピールポイントに矛盾や飛躍がないかの「論理性」です。だから「〇〇する姿勢」で十分です。実際に、企業が新入社員に求める能力を確認すると、もう何年も「コミュニケーション能力」の一人勝ちだからです(※株式会社帝国データバンク 2022/9/12「企業が求める人材像アンケート」より)。 面接担当者の大多数は「最終的には、一緒に働きたいと思うかどうか」と本気で考えています。この背景には、新卒一括採用では「どの部門や部署で働くのか」が採用時点でわからない企業が多いために、「どこに配属してもうまくやれそうな人」を採用するのが合理的だから、との考えが色濃いからです。そのため、「コミュニケーション能力」以外にも「意欲的」や「素直」、「真面目」に「誠実」、そして「明るい」といった人柄に関する事項が上位に並んでいます。 一般的に採用担当者や面接官は、自己PRでは「性格や考え方などの人柄」と、「自社で活かせる強みがあるか」の2点について「論理性」を持って伝えているか、を確認しています。しかし、実際には前者が重要視されるもので、後者は伸びしろ確認でしかありません。企業が見ているのは「あなたが企業に売上や利益で長期的な貢献ができるか」だという言説も根強くありますが、これも人柄・伸びしろ重視と矛盾はしません。 どんなに強みや実力や実績があっても、それを組織内で発揮できるかどうかは「一緒に働いてもいいと思える人柄なのか」にかかっています。これこそ、就活生の皆さんに自己PRしてほしいものです。 自己PRの例文はネット検索すればたくさん出てきますし、一人ひとり違うのが自己PRなので、本稿ではあえて例文を紹介することはしません。「自分の性能」ではなく、「自分が入社したらこのように貢献する」と、企業への活かし方をアピールしてください。これだけで内定率がグッと上がります。 自己PRもガクチカと同様、自分を知ってもらうツールです。押さえるべき点、避けるべき点もガクチカとまったく同じです。大切にするのはあくまでも自分らしさ。 「それぞれの企業にどんな強みが刺さるのか」という逆算よりも、「どんな姿勢が刺さる企業の内定が欲しいのか」。生涯収入最大化のためには、自分らしさの解像度を上げて、自分のいいところをアピールして、それを「いいね!」と思ってくれる企業の内定を目指してください。全ての企業から内定を得る必要はないのですから。 森田 昇(もりた のぼる) キャリア開発・DX講師、ITベンチャー企業の外部人事部長 キャリアコンサルタント、中小企業診断士。一般社団法人リベラルコンサルティング協議会代表理事、日本能率協会マネジメントセンターパートナー・コンサルタント。 IT業界20年の経験と転職10回したつまずきを基に、キャリア開発・DXの研修講師として100社以上に研修を実施、再就職支援セミナーをハローワークで100回超開催。キャリアコンサルタントとして学生含めて約2,000人の転職と再就職・就活支援を行う。またITベンチャー企業の外部人事部長として新卒・中途採用に携わる。 著書に『売れる!スモールビジネスの成功戦略』(明日香出版社、2020年)、『年収300万円から脱出する「転職の技法」』『生涯収入を最大化する「就活の技法」』(どちらも日本能率協会マネジメントセンター)がある。
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