ブランドが リセール 市場へ積極的に参入するのは是か、否か
デメリット:新品の売り上げや収益性と「共食い」してしまうという懸念
ブランドによっては、顧客が新品の代わりに中古品を購入することを懸念してリセールに乗り気ではない場合もある。スレッドと調査会社グローバルデータ(GlobalData)の共同調査によると、小売業者の半数近くが、リセールが長期的な成長をもたらすとしても「短期的には売り上げを奪い合う可能性がある」と答えているという。 リキュレートのグリフィン氏は同社のデータはその懸念を裏付けていないと述べ、「ブランドのリセールで中古品を購入する顧客は、そうしないのであれば、ポッシュマークかデポップ(DePop)、それかイーベイで買っていたはずだ」と指摘した。 リセールオペレーターのトローブ(Trove)でCEOを務めるゲイル・テイト氏は、同じような懸念を頻繁に耳にすると語った。「私の答えはこうだ。あなたのビジネスの中心部はすでに、あなたのサイト以外の中古品販売サイトに食われている」。 それでも多くのブランドは、このトレンドから距離を置く一部のラグジュアリーブランドと同様に、自社リセールにまだ価値を見いだしていない。また、リセールの開始を決断したブランドのなかにも、利益が上げられていないブランドが存在する。
メリット:ブランドや市場に応じたカスタマイズが可能
リセールへの参入を決めた場合、選択できるモデルは複数ある。ユーザーが写真を撮って出品リストを作成し、商品を直接消費者に発送する「ピアツーピア型マーケットプレイス」を選択するブランドもあれば、フィルソンのように、商品をブランドに送ってもらい、検査や修理、認証を行ってからプラットフォームに出品するという「下取りスタイルのプログラム」を選択するブランドもある。また、ファッションブランドのジェイクルー(J.Crew)やトムス(Toms)のように、スレッドアップに料金を支払って、自社サイト上でホワイトレーベル版のサービスを運営しているブランドもある。 アーカイブのCEOであるエミリー・ギッティンズ氏は、ブランドは自社に適したモデルを選ぶことで小規模なスタートも可能だと話す。「まずはアパレルなど1つの商品カテゴリーを選択し、アクセサリーなどほかのカテゴリーは除外することもできる。リセールモデルや商品カテゴリーを徐々に追加したり、新しい市場に拡大していったりすることで、プログラム規模を拡大していくのだ」。 フィルソンと提携しているトローブのテイト氏は、各ブランドそれぞれの目標を理解することをめざしているという。たとえば正確で競争力のある価格体系を構築し、ビンテージ品やアーカイブ品も視野に入れることも含まれる。「非常に価値の高い商品があるのならば、それに応じた対応をしたい」。