大久保嘉人「少年時代は怒られてやる気をなくしていた」子どもの才能を伸ばすために一番大切なこと
理不尽な指導より、サッカーを楽しめる環境が子どもの才能を伸ばす
――大久保さんは海外でのプレー経験もありますが、スポーツにおいて日本の子どもたちが才能を伸ばすために、何が必要だと感じますか? 大久保嘉人: 昔は「つらさに耐えてこそ人は成長する」という考えが強かったですよね。でも僕は、ただつらいだけの理不尽な指導は、才能をつぶしてしまうと思っています。 海外のサッカー選手たちは、つらさに耐えてこそ、という考えはまったくないんです。プロを目指す子どもたちはみんなサッカーを心の底から楽しんで、「どうすればもっと強くなれるんだろう?」と日々考えながら練習に励んでいます。楽しみながらサッカーに向き合えているからこそ、世界で活躍するスター選手がたくさん生まれているんじゃないかな。 日本の部活動は、試合に勝つためにうまい選手しか試合に出さないケースも多いですよね。これも才能をつぶしてしまうひとつの要因だと思います。学生のうちはまだ成長途中なので、試合に出ていないメンバーの中に才能ある選手がいるかもしれないじゃないですか。実はすごく才能があったのに、理不尽な経験をしたことでサッカーを嫌いになって部活をやめてしまった子どもたちもこれまできっとたくさんいたと思うんです。すごくもったいないですよね。 子どもの才能を伸ばすために一番大切なのは、サッカーが好き、楽しいと子どもたち自身が思うこと。そして、子どもたちが楽しみながらサッカーに向き合えるような環境づくりをするのが、大人の大事な役割だと思っています。 --- 大久保嘉人 1982年、福岡県生まれ。国見高校を経て、2001年にセレッソ大阪に入団。スペイン、ドイツなど海外リーグのほか、国内数クラブで活躍。3年連続Jリーグ得点王(2013年~2015年)、J1通算最多得点記録保持者(191点)など数々の実績を持ち、日本代表としてオリンピックやW杯にも出場。現役引退後は、サッカー解説者だけでなくバラエティ番組などでも活躍する。 文:中村英里 (この動画記事は、TBSラジオ「荻上チキ・Session」とYahoo!JAPANが共同で制作しました)