「三川内焼」400年の伝統と革新が融合「菊の花飾り」に「唐子絵」陶芸の里で若き職人たちが挑む新しい形
絵柄も時代にあわせて「サイズ」を変える
海外の焼き物ファンをも魅了する三川内焼。 特徴の一つは「唐子絵」だ。染付でも、伝統を守りつつ、新たな挑戦を続ける職人がいる。 平戸松山窯は、江戸時代から三川内焼を代表する「唐子」の器を作り続けている。 壁にずらりとかかっている紙は「図案」だ。植物や吉祥文様などのおめでたい絵柄が多い。 焼き物に置いてこすると、線がうつるのだ。 中里彰志さん(27)は三川内皿山で最年少の職人だ。「染付」を始めたのは5年前。祖父の背中を見て覚えた。伝統を守りながらも、今の時代にあわせて自分らしい工夫を加えていて、絵柄は全体的に器に対して小さめに描いているという。 「シンプルなものを求められる時代に合わせた絵付け」と中里彰志さんは話す。 子孫繁栄の願いが込められた「唐子絵」。 人々の成長や縁を大切にするという意味がある「唐草模様」。 穏やかな生活を願う「青海波」。三川内焼には「幸せ」の象徴とされる柄が多く取り入れられている。 呉須を使った青の染付が主流だが、最近ではオレンジなど他の色味も加わり、デザインの幅が広がっている。 美しい器作りに欠かせないのが窯に入れる前の「釉薬」を施す工程だ。釉薬を施すと一瞬で絵が消えて真っ白に。釉薬をかけることでつるつるの焼き物に仕上がり、強度もあがるという。 1300度で15時間ほどかけて焼き上げると、再び絵が浮き出て、白を基調とした上質な器に仕上がるのだ。
新しい技法を取り入れて価値を上げる
時代にあわせて「発信」に力を入れ始めた。YouTubeでの発信だ。 コロナ禍の2021年にチャンネルを開設。制作の裏側や職人の本音を動画で配信している。絵柄では新しい技法にも挑戦し、伝統技法と組み合わせることで、不規則な模様を浮き上がらせる手法を編み出した。 昔ながらの技法を守りつつ、自分にしかできない作品を作り上げる。その背景を知ってもらうことで、焼き物の価値が上がるのではないか。若い世代によって、伝統技法の三川内焼の挑戦が続く。 (テレビ長崎)
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