親指の痛み「スマホ腱鞘炎」かも?手首の違和感に整形外科医が警鐘
利き手の親指の周りに痛み
スマートフォンの長時間利用は、肩こりや目の不調の原因になると言われていますが、手の親指や手首の慢性的な痛みにつながることもあります。ケースを含め約300グラムの重さのスマホを長時間、手のひらに載せて、親指でスクロールを繰り返すことで、知らず知らずのうちに親指を酷使し、腱(けん)や関節に負荷をかけてしまうと、整形外科医は警鐘を鳴らしています。 腱鞘(けんしょう)炎を疑い、整形外科医を訪れる人の中には、スマホの使い過ぎが原因と自己分析する人もいるようです。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」には、「腱鞘炎 何が効きましたか?」というタイトルの投稿が寄せられています。 トピ主「ハテナ」さんは、1年ほど前から腱鞘炎になり、利き手の親指の周りに痛みが出て、湿布やサポーターなどを試してきたといいます。「手を使わないことが一番のようですが、そんなのは無理な話です。どんなことをしたら痛みや違和感は改善されましたか?」とアドバイスを求めました。 これに対して、「私も腱鞘炎になりました。多分、スマホの見すぎです」と書いてきたのは「みなみ」さんです。整形外科でギプスによる固定療法を勧められましたが、予後のリハビリ含め通院が大変そうなので、「自分でなんとかしよう」と考えました。 まずは、インターネットで腱鞘炎用のサポーターを購入。サポーターの下には湿布を毎日貼り、なるべく親指を動かさないようにして字を書いたり、箸を使ったりする生活を続けました。少し痛みが和らいでくると、痛みを治めるストレッチの動画を探して実行。今ではほとんど痛みを感じなくなったそうです。 このほか、整形外科でステロイド注射を打ってもらった人や、フィジオセラピー(理学療法)を受けたという人もいました。
スマホの長時間使用で腱鞘炎の予備軍に
稲毛病院(千葉市)の健康支援科部長で整形外科医の佐藤務さんは、「スマホの閲覧やゲームに夢中になって、ずっとスクロールし続けていると、親指や手首を知らず知らずのうちに酷使してしまい、腱や関節に負担がかかってしまいます。因果関係が十分に説明できるわけではありませんが、スマホを長時間使用する生活をしていると、腱鞘炎や関節症の予備軍となっている可能性はあります」と話します。 手の指や親指側の手首に痛みや違和感を覚えたら、まずは整形外科を受診するよう佐藤さんは勧めます。「どこの部位が痛むのか、どのくらい持続して症状があるのかなどによって、対処法が異なります。リウマチなど他の病気の可能性を除外するには、診察や検査が必要ですし、症状に合わせて、冷やすことや痛み止めなどの対処法を検討することになります」 セルフチェックとして、佐藤さんは次の方法を勧めます。 <1>親指を繰り返し曲げ伸ばししてみて、引っかかり感がないか、親指の三つの関節に痛みがないかを確認する。(親指の場合、他の指と違い二つしか関節がないと思われがちですが、手首との間にもう一つCM関節があります) <2>親指を握ってグーを作り、ひじを伸ばして手首を小指側に倒してみる。このとき、親指側の手首に痛みが出ないかを確認する。 佐藤さんは、痛みを予防するため、生活の中で手首や指のストレッチを取り入れることを推奨します。そこで痛みを感じる場合には、スマホの使用を制限したり、片手でなく両手でスマホを使用したりするなど、生活上の工夫が必要になってきます。「曲げると痛む部分はテーピングで固定するなど動きを制限する工夫が必要でしょう」