「私と高橋ヒロムさんが同意見で、男子選手でリングに立ってほしい相手がいるんですよ」坂井澄江、引退試合でやりたいカードとは?
ヒロム「やりましょう、澄江さんが引退するときはミックスマッチを」
――アメリカでの生活が長らくなっていくなかで、選手としての坂井さんは2年ほど前に引退を表明されていますがこれはどういった経緯でしたか。 坂井 ライガーさんとお会いした時に学んだことがたくさんあって、それが本当によかったんですよ。「私、辞めようと思ってるんです」っていう話を一番最初にしたのもライガーさんで、理由も言ったんですよ。 ――ではその理由というのは? 坂井 デイブ・フィンレーの家族と知り合って、妹が10歳くらい離れているんですかね。今は22歳なんですけど。 ――先ほど言われた小さかった妹さんのことですね。 坂井 名前はアラナというんですけど、当時7歳でずっとプロレスラーになるって言ってたんですよ。彼女が高校を卒業してプロレスラーになるっていう時だったんで、私がどうしても相手をして辞めたいと思っていたんですよ。だから「アラナがもうすぐ卒業だからデビュー戦の相手をして、辞めようと思っているんです」ってライガーさんに言ったんですよ。でも、高校生になったらいろんな楽しいことを覚えるじゃないですか。それで、彼女はプロレスラーになることを辞めたんですよ。「え? どうしよう」と思って。7際の時から知っている子で、ずっとプロレスラーになるって言っていたから、この子とやって辞めるために頑張ってきたのもあったのに…と思いつつ、ライガーさんと会った時、私、ROHのチャンピオンだったので、試合を見てくださったんですよ。そしたらライガーさんは試合後に、「なんか辞めるって聞いていたから、どこか悪いのかなーって思っていたんだけど、そんな感じじゃないよねー」って言われたから、「そうじゃないです、それが目標だったんですよ」って言ったら、「じゃあ、やれることいっぱいあると思うよ。アメリカでやってきたことがたくさんあって、やれることがいっぱいあるから、プロレスをやっているうちに辞める理由が見つかるんじゃないか」って言われて、そうかもしれないと思って。そうやって、やっているうちに、裏方の仕事をやらさせてもらえるようになったり、自分のプロレスラーとしての感覚も変わってきて。自分の中でこだわりなんですけど、コーナーからのドロップキックって、私がアメリカへ行ったときは、そんなにやってる人はいなかったんですよ。私は日本のスタイルとアメリカのスタイル、両方で学んだことをやっていたんで、技も日本でやっていたことを主にやっていたんですけど、いまアメリカ人の女の子でもやる子がいるから、年齢も重ねて来るし、自分ができるできないじゃなくて、技も変えていって。それは、私の中のプロレスラーとして感覚が変わっているからなんですよ。プロレスラーとしては終わっていいと思っているから、そう思うんだということに気づいて。 ――たしかにいま、コーナーからのドロップキックは、使い手はたくさんいますよね。でも、坂井さんは年齢を経ても、ライガーさんの言われる通り、普通に動きもそん色なくできますね。 坂井 はい、日本の女子プロレスラーってすごいんですよ。基本をいっぱいやらされることって大事で、あの頃は、基本ばっかりって思っていたけど、それがあるからこそ今があるんです。一番最初に教えてくださったバイソン木村さんや、Coogaさんや、ジャガーさんや、ライオネス飛鳥さんや、智香子さん、李さん、ブラディーさん、小杉(夕子)さん、曽我部(美幸)さん、阿部(幸江)さん、いろんな人に感謝しかないですね。あの時にこんなの毎日やるのかよーって思ったことをやってきたから、まだプロレスができるというか。 ――それが今に生きているんですね。でも引退は決めていると。 坂井 はい。いまは、辞めてからの目標ができて、今までやってきたことをみんなに生かせることをやりたいって思ったんですよ。今までは割とボランティアでやってきたんですけど、自分、知り合いが多いからできるんですよ。あと誰よりもできる。英会話力が100%じゃないかもしれないけど、自分のなかでやっていることは、100%って言い切れるんですよ。だからお金をもらってできるようになりたくて、プラスお金をもらうだけじゃなくて、100%のサポートをしてあげたい。 ーーきちんと引退後のビジョンもあるわけですね。これまで以上に、いろんな選手たちが安心してアメリカで活動ができそうですね。 坂井 で、私、引退試合でやりたいカードがあって…ヒロムさんが昔ウチにいた時に、インディ団体で、私、ヒロムさん対ライガーさん、アメリカ人の女の子っていう対戦カードがあったんですよ。 ――それはすごいカードですね。 坂井 本当は私、ヒロムさん対アメリカ人の女の子とジェリー〝キング”ローラーっていう、あの人だったんですよ。そのカードをライガーさんが聞いて、「いいなあ、ミクスタッグってやったことがない」って言ったらプロモーターがそれを聞いて、「ジェリー“キング”ローラーとライガーのカードを変えてもいいよって」言われて。それで、ライガーさんのキャリアの中で最初で最後のミックストタッグの相手を私とヒロムさんがやったっていう貴重な経験ができました。 ――思わぬ形で坂井さんと高橋ヒロムさんのタッグも実現していたんですね。パートナーのヒロム選手はいかがでしたか。 坂井 ヒロムさんってやっぱりすごいんですよ。むちゃくちゃ、プロフェッショナルで、プロモーターが大喜びしたんです。それはヒロムさんのミックストタッグマッチがすごすぎて。それでこの団体は4連戦で、翌日以降も、ヒロムさん対誰かっていういいカードもあったのに、プロモーターがカードを変えちゃって。その経験があったので、「やりましょう、澄江さんが引退するときはミックスマッチを」と言ってくれて、ヒロムさんと一緒のリングにもう一回立ちたいと思っています。 ――では坂井さんの描く、引退試合は坂井澄江&高橋ヒロム組だと。相手は誰か浮かんでいますか。 坂井 私とヒロムさんが同意見で、男子選手で相手としてリングに立ってほしい人がいるんですよ。その人がまだドクターからの許可が下りていなくて、試合ができないので、待っているのに2年立っています。だからまだ引退しないんです。 ――なるほど、だから引退試合をまだ行なっていないんですね。その方の名前というのは…。 坂井 まだ言わないです。言える時になったら、お知らせするので待っててください。 ――わかりました。それでは今後も日本とアメリカの架け橋としてのご活躍、期待しています!
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