神業FKは健在だった…遠藤保仁がジュビロ磐田移籍後初ゴール…奇跡のJ1昇格はなるのか
J1の舞台で直接フリーキックから17ゴールを決めている名手、遠藤の十八番を阻止すれば味方の士気が上がり、対照的にジュビロは意気消沈すると思ったのだろう。ニアサイドも意識していた分だけ、清水をして「ちょっと反応が遅れてしまった」と悔しがらせたシーンが生まれる。 右足のインフロント部分でボールをこすり上げる、遠藤が最も得意とする形から放たれた一撃は美しい放物線を描きながら、ファーサイドの壁を越えて急降下。必死に体勢を立て直してダイブした清水が伸ばした左手の先をかすめて、右ポスト際のゴールネットへと吸い込まれていった。 「距離的にも非常に狙いやすい位置でしたし、ジュビロの選手が上手くボールを隠してくれた、というのもあるので、自信をもって蹴りました。練習の段階から感触がよかったし、キーパーの位置もしっかり確認できていたので、いいコースにさえ飛べば、と思っていました。イメージ通りでした」 今月上旬まで、実に19年9カ月にわたって所属していたガンバ大阪での今シーズンは無得点だった。鹿児島実業高から横浜フリューゲルスへ加入した、1998シーズンから続く連続ゴールの年数を「23」に伸ばした遠藤はいつも通りのひょうひょうとした口調で、新天地で決めた初ゴールを振り返った。 距離はもっと遠かったものの、相手ゴール前のほぼ正面からファーサイドへ、壁を越えて縦回転で落ちる軌道で沈めた直接フリーキックは、南アフリカワールドカップを思い起こさせた。デンマーク代表とのグループリーグ最終戦で本田圭佑に続いて雄叫びをあげてから10年あまり。年齢を重ねてもテクニックは衰えないことを証明した遠藤の存在感は、時間の経過とともにどんどん増してくる。 ジュビロ磐田U-18から昇格したルーキー、FW三木直士が後半31分に決めた勝ち越し弾をさかのぼっていくと遠藤のパスに行き着く。ゴール前で右サイドのDF小川大貴へ素早くパスを展開。中央へ切り込んだ小川大が放った強烈なシュートのこぼれ球を、三木が利き足の左足で押し込んだ。