ラグビー欧州組が日本代表にもたらすものとは? 齋藤直人が示す「主導権を握る」ロールモデル
いまの日本代表は転換期にある。指揮官は…
もっとも今回は、この特別な存在感を結果に昇華できなかった。フランス代表戦は12―52、イングランド代表戦は14―59でそれぞれ落とした。国内でのニュージーランド代表戦、遠征中のウルグアイ代表戦を含めたテストマッチシリーズの戦績は、1勝3敗となった。 いまの日本代表は転換期にある。 昨年まで活躍した選手のうち何人かは、故障をはじめとしたさまざまな理由で代表を離れている。渦中、約9年ぶりに復帰のエディー・ジョーンズ ヘッドコーチは、若返ったスコッドにトレンドとはやや異なるコンセプトを示している。 その延長線上で大敗を重ねたことで、国内勢に迷いが生じつつある。 試合をするたび、複数の選手が首脳陣の打ち出す防御システムの詳細、さらに防御練習の少なさについて改善点があると言及。プレーヤーとスタッフの協調関係が発展途上であることと、このグループで得た成功体験があまりに少ないことがないまぜになっている印象も受ける。 しかし、ジョーンズは強調する。 「われわれのスコッドにはタフな選手が必要ですし、私は彼らが問題を修正し立ち向かうためのヘルプを惜しみません。今回、ゲーム主将を務めた齋藤は、素晴らしい働きをした。イングランド代表戦前の練習で、選手がゲームプランについてわからない点、不安があると見て取れました。そこで齋藤に『ミーティングをしてはどうか』と提案しました。すると齋藤がすぐに選手を集めていました。こういうことを、求めていきたい」 欧州組にも国内組にも、指揮官は諸問題と正面から向き合うよう促すつもりだ。 <了>
文=向風見也