オミクロン株「倍加時間が短い」 尾身会長、急速な感染拡大を警戒
政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長は23日、記者会見を開き、世界的に感染が広がり、国内でも市中感染例が確認されたオミクロン株について「今のところ、国内でオミクロン株が面的に広がっているとは考えていないが、複数のスポットで既に感染が始まっているのではないか」との見解を示した。 【動画】コロナ分科会の尾身会長が会見 年末年始の感染対策呼びかけ
●現時点で分かっていること
オミクロン株については「ワクチン接種率が向上しても、マスク着用など基本的感染対策を怠ると急激な感染拡大が見られ、医療がひっ迫することが諸外国の事例で分かっている」と感染対策への協力を呼びかけた。 特徴については「不明な点もまだたくさんある」としつつ、現時点で分かっていることとしていくつかのポイントを挙げた。 まずは倍加時間の短さ。尾身会長によると、英国や南アフリカなどのオミクロン株流行地域では、感染者が倍増するのにかかる時間(倍加時間)が2日から3日と「極めて短い」との報告があるため、「市中感染が始まると急速に感染拡大する恐れがある」と警戒を強めた。 ワクチンの効果については「発症予防効果」と「重症化予防効果」に分けて説明した。発症予防効果では、デルタ株では約70%あるのに対し、オミクロン株では約20%との英国の報告などを踏まえ、オミクロン株への効果は「低いことが指摘されている」と述べた。 一方で、オミクロン株の重症化リスクとワクチンの重症化予防効果については、現時点で「明確な科学的な知見はない」とした。 ただデルタ株での事例として、時間が経過しても65歳未満では重症化予防効果が減弱しないのに対し、65歳以上では80%程度まで低下するというデータを挙げ、「ワクチン接種者でも特に高齢者は感染した場合に重症化する可能性がある」と注意を促した。 ワクチンの効果は、追加接種によって改善させることは可能だとの英国の報告も紹介。追加接種後の発症予防効果は「デルタ株では9割程度、オミクロン株では8割程度それぞれ改善したことが示されている」と述べた。