年金の平均額が月5万円という記事を見ました。定年まであと10年ありますが、貯金を切り崩しても毎月5万円では足りません…。どうすれば余裕のある生活を送れるのでしょうか?
老後の生活が不安、という方は多いことでしょう。「年金の平均額が月5万円」といわれたら、なおのことです。多くの方にとって、老後の収入は年金であり、「月5万円では貯金を切り崩したとしても生活できない」と感じるのではないでしょうか。 本記事では、「本当に年金の平均額は月5万円なのか?」「余裕のある生活を送るにはどうしたらよいか?」について解説します。記事(インターネット)などの情報で不安になってしまった方でも落ち着けるような内容になっていますので、ぜひ最後までお読みください。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
年金の平均額は月5万円なのか?
「年金の平均額が月5万円という記事」の内容は、おそらく「年金受給額の平均は、国民年金のみの場合は月5万6428円」という趣旨のものでしょう。これにより「年金額の平均額が月5万円」と思われたのではないでしょうか。 この金額(月5万6428円)の根拠は、厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」です。これによると、令和4年度の国民年金で老齢年金受給者の平均年金月額は、5万6428円となっています。しかし、ここで注意しなければならないのは、この金額は「受給資格期間を原則として25年以上有する」方を対象に算出した金額だということです。 令和6年4月分からの老齢基礎年金の満額は、81万6000円(月6万8000円)です。老齢基礎年金は、国民年金保険料の納付済み月数に応じて受給額が異なります。国民年金の被保険者期間(20歳から60歳までの40年間)の保険料を全て納付すると、満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。 したがって、「自分は老齢基礎年金をいくら受け取れるのか」を考える際は、先述の平均額(月5万6428円)を参考にするより、ご自身が保険料をどれだけ納付しているかを考慮したほうがよいでしょう。例えば、以下の条件で考えてみます。 ●定年まであと10年 ●定年を60歳とする ●これまでの30年間の国民年金保険料は全て納付している このとき、残り10年間の国民年金保険料を全て納付すれば、老齢基礎年金を満額受け取ることができます。一方、仮に残り10年間の国民年金保険料を全く納付しなかった場合、受け取れる老齢基礎年金の額は満額の75%(納付済み月数360月÷加入可能月数480月)になります。この場合の年金額を令和6年4月分からの年金額に置き換えてみると、61万2000円(月額5万1000円)となります。