私への批判は既得権益グループの悪意あるキャンペーン――竹中平蔵が語る「本当の敵」 #令和のカネ
2023年も円安傾向が続き、低賃金で働く人を中心に、物価高に苦しむ声が多く聞かれる1年となった。2001年の小泉政権発足時、経済財政政策担当大臣を務めた経済学者の竹中平蔵氏。その実績は、りそな銀行へ公的資金を注入した「りそなショック」、郵政民営化など少なくない。だが、当時もいまも「格差拡大の犯人」などと、ネットでは批判が続いている。なぜ竹中氏は批判されるのか。実際に竹中氏が主張していることとは何か、本人に尋ねた。(文:ジャーナリスト・森健/撮影:吉場正和/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
格差問題は小泉改革と関係ない
1990年代半ばから2003年頃にかけての就職氷河期に就職活動をしていた団塊ジュニアの人たちは、景気の悪化から正社員として雇用されず、契約、派遣、請負などの非正規雇用として働く人が多かった。正規のキャリアを積めず、不本意な形で転職せざるをえないことが多かった彼らは、団塊世代と同じくらいの人口があるにもかかわらず、適切な労働力として生かしきれていないとされる。 ──いわゆるロストジェネレーションと言われる世代ですが、この世代をどう見ていますか。 政府が1990年代に(不良債権処理など)バランス調整をしていればよかったのですが、一時的な公共事業で需要喚起ばかりやっていた。だから経済がよくならず、あの世代が多く就職できなかった。かわいそうですよ。おかしな政策をやると、必ず尾を引くんです。 ──竹中さんは2000年代初頭、小泉純一郎内閣の閣僚でした。閣僚として、当時の若い世代に手当てをするような考えはなかったのでしょうか。 当時私はクラッシュしそうだった経済を食い止めることをしていたんです。そんなにいっぺんにできないんですよ。一つのことをやるのに2年かかるんです。国会で議論して、法律を通すだけで1年かかる。経済財政諮問会議を機能させ、不良債権を処理し、郵政民営化をやる。それらを5年5カ月でやれたのは小泉さんだったからですよ。