人生のつらい状況に悩むのは避けられないが、「悩みを軽くする」ためにできること
だれしも悩みを逃れられない
何やら啓発セミナーか新興宗教のようになりましたが、簡単に賛同してもらえるとは思っていません。そもそも、自分を変えることほどむずかしいことはなく、それが簡単にできるくらいなら、はじめから悩まないでしょう。 ほんとうは悩みを受け入れるのがいちばん手っ取り早いのですが、それが結論なら、何のためにここまで読んできたのかと怒る読者も多いかもしれません。 私自身も、これまでの人生で何度も悩み、落ち込み、のたうちまわるようなことがありました。小説の新人賞で有力視されていたのに落選したときとか、こちらが好意を寄せた人に嫌われたり、誘惑に抗しきれず不適切な行為に及んだり、恥ずかしいことをしてしまったり、仕事が途絶えかけたり、身内が自殺したり、突然死したり、両親がもめたり、仕事で厄介な状況を引き起こしてしまったりしたときです。詳しいことはとてもここには書けません。 そういう人生のつらい状況に悩むのは、避けられないことですが、人生には避けられる悩みもあるはずです。くだらないこと、些細なこと、忘れてしまえば問題ないことなどで、そのような日常的なことで悩むのはもったいないと思います。 思い通りにいかないとか、うまくできないとか、傷ついたとか、ムカつくとか、嘆かわしいとか、当人にすれば重大な問題でも、他人からすればそれほどでもないことも多いでしょう。だったら、当人にとっての重大さを減らせば、悩みも軽くなるのではないでしょうか。 さらに連載記事<じつは「65歳以上高齢者」の「6~7人に一人」が「うつ」になっているという「衝撃的な事実」>では、高齢者がうつになりやすい理由と、その症状について詳しく解説しています。
久坂部 羊(医師・作家)