錦織圭と国枝慎吾が描くジュニア育成の未来図。日本テニス界のレジェンドが伝授した強さの真髄とは?
日本テニス界を代表する2人のレジェンド、錦織圭と国枝慎吾。12月中旬、アメリカ・フロリダ州で行われた「ユニクロ全日本ジュニアテニス選手権2024海外派遣プログラム」において、2人が国内トップの実績を持つ12名のジュニア選手に、実践と座学を交えた短期合宿を実施した。錦織が伝授した技術や考え方、全員に共感と気づきをもたらした国枝の回答とは? コート上での実践を交えて、2人の至宝が未来のスター選手たちに伝授した「強さの真髄」に迫った。 (文・撮影=内田暁)
2人のレジェンドが共有した得難い経験
錦織圭が車いすジュニア選手の悩みに耳を傾け、自ら手本を示しながら、サーブやスライスの打ち方を教える。その隣のコートでは国枝慎吾が、日本男子ジュニアの頂点に立った高校生の強打を、ことごとくはね返していた。 男女の健常者と車いす利用者が同じコート上でボールを打ち、悩みを共有し、リズミカルに言葉とラリーを交わしていく。 12月中旬、アメリカ・フロリダ州――。紺碧の空の下、広大な大地に何十面も広がるテニスコートの一角で繰り広げられたこの光景は、「ユニクロ全日本ジュニアテニス選手権2024海外派遣プログラム」での1シーンだ。 「ユニクロ全日本ジュニアテニス選手権(以下全日本ジュニア)」は、各年代の国内トップを決する全国大会。その男女シングルス優勝者ら12人を、アメリカでの短期合宿に派遣するプログラムがファーストリテイリング財団の全面支援のもと、3年前に始まった。合宿先は、錦織圭が拠点とするIMGアカデミー。今年はそこに、USTA(全米テニス協会)ナショナルトレーニングセンターも加わった背景には、国枝氏の存在がある。 ユニクロのアンバサダーでもある国枝氏が、世界1位のまま現役を退いたのが2023年1月。その1年後、自身の強い要望により、国枝氏がUSTAのアドバイザーに就任した。そして2024年、国枝氏の提言もあり全日本ジュニアに車いす部門が設立される。それら一連の流れもあり、今年は車いすのジュニア選手2名をUSTAに派遣する運びとなった。さらには、IMGアカデミーに派遣される12歳~18歳のジュニアたち10名と錦織までもが、USTA合宿に合流。かくして計12名のジュニアたちは、国枝氏と錦織の指導を受けるという、得がたい経験をしたのだ。