アニメ映画『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』出演・津田健次郎さん「ウルフの未成熟さが面白い」
『星の王子さま』の輝きは今の時代も
――数々の作品で声優を務めていらっしゃいますが、声で伝えられること、声だけだからこそできることをどのようにお考えでしょうか。 僕はドラマも出演させていただいたことがあるし、昔は舞台にも出ていましたが、吹き替えやアニメーションの声優も含めて、いわゆる「お芝居をするもの」に関しては、それぞれの違いを感じていないんです。あえて言葉にするならば、作品ごとに違うという気持ちでいますね。 例えば、アニメーションでも、ちびキャラが出てくるようなものから、今作のような、いわゆる敵や悪を演じる上では役へのアプローチが全く変わります。それは実写でも同じで、ドタバタコメディーとめちゃくちゃシリアスな日常を描いた作品でも変わってきますからね。そういう意味で、自分の中ではあまり変わりがないかなと思っています。もちろん、アニメーションならではの表現やリアクションの仕方はありますし、こういったファンタジーならではの設定や世界観というものがあるので、作品ごとに楽しんでいます。 ――お仕事で多くの作品に携わっていますが、普段はどんな本を読みますか? 最近はあまり小説などを読めていないのですが、元々はミステリー系からエンタメ系まで、ジャンル問わずいろいろなものを読んでいました。ホラーだけは怖いので、あまり読みませんが(笑)。子どものころは世界の偉人伝を読んで「おもしろい人がいるんだなぁ」と思っていましたね。その後は物語にハマり、純文学にはまり……。村上春樹さんと村上龍さんの「ダブル村上」は完全に世代なので、よく読みました。 ――最近読んで特に印象に残っている作品を教えてください。 もともと『星の王子さま』が好きなのですが、最近改めておもしろいなと感じています。最初に読んでいたころは、サン=テグジュペリがこの作品を書いていた第2次世界大戦中の時代背景や、書かれた動機などをあまり知らなかったんです。今、また世界できな臭い、戦火が燃え上がっている時代になって、この作品が持つ輝きがあるなと思いますし、非常に奥深い気がします。 <津田健次郎(つだ・けんじろう)さんプロフィール> 1971年生まれ、大阪府出身。アニメ、洋画吹替、ナレーターなどの声優業、舞台や映像の俳優業を中心に、映像監督や作品プロデュースなど幅広く活動している。近年の主な出演作に、ドラマ「最愛」、映画「赤羽骨子のボディガード」(出演)、「ラーメン赤猫」「クレイヴン・ザ・ハンター」(いずれも声の出演)などがある。 公式HP https://tsudaken.jp/ 公式X https://x.com/tsuda_ken (文:根津香菜子)