伝統工芸と先端テクノロジーと組み合わせ、地元・富山を盛り上げるプロデューサー。
フィガロジャポンが、「こうあるべき」にとらわれず、自分の感性や思いを大切にしながら働くことを通して社会にインパクトを与える次世代のロールモデルたちに光を当てるBusiness with Attitude。2024年は、「新しいスタンダード」をテーマに、社会や業界の課題に向き合い、新しい生き方、働き方の可能性を発信する人々のストーリーを紹介しています。 【写真】水と匠が手掛ける宿の紹介も。これからのスタンダードを築く女性たちが集結したBWAアワード賞状授与式リポート 国の文化的支援が十分ではない中、伝統工芸の世界でも女性たちが活躍するようになってきた日本。職人として働くことを選んだ人、現代に合わせたデザイン提案や技術を伝える人、場所を紹介します。
エピファニーワークス代表/一般社団法人 富山県西部観光社 水と匠 プロデューサー/林口砂里
東京外国語大学中国語学科卒業。東京デザインセンター勤務などを経て、2005年にエピファニーワークス設立。12年に富山県高岡市に拠点を移し、19年、富山県西部観光社 水と匠のプロデューサーに就任。 https://www.epiphanyworks.net/ https://mizutotakumi.jp/
高岡銅器、高岡漆器、越中福岡の菅笠......さまざまな伝統産業が息づく富山県高岡市。高岡市出身の林口砂里は、富山県西部地区の地域づくりを担う富山県西部観光社 水と匠のプロデューサー。地域の魅力を伝えるツアーの企画や、伝統工芸や地元プロダクトの商品開発など、幅広く手がけている。 2005年に設立したエピファニーワークスでは、現代アート、デザイン、音楽、自然科学、仏教......さまざまなジャンルのクリエイターや研究者を結びつける事業に取り組んできたが、故郷の伝統工芸に目を向けるようになったのは、富山と東京を行き来するようになったここ10年ほどのことだという。 「伝統産業は私にとってごく身近なもので、あることが当たり前でした。けれどもそれは、誰かが情熱や熱意をもって継承してきたからそこにあったと気がついたんです。さまざまな伝統産業が消えつつある現在、工房や工場に赴いて作り手の思いに触れるたび、美しい技をもっと多くの人に広めたいと思うと同時に、それらが失われつつある状況を危惧しています」