2024年11月16日は藤原道長の詠んだ『望月の歌』とほぼ同じ月
2024年11月16日の月は『望月の歌』とほぼ同じ!
望月の歌が詠まれた日から1006年後の2024年、旧暦10月16日は新暦の11月16日に当たりますが、まさにその日に道長が見上げたであろう月とほぼ同じ形の月(月相がほぼ同じ月)が夜空に昇ります(※3)。また、2024年のNHK大河ドラマ『光る君へ』は、『源氏物語』を執筆した紫式部の生涯を描いていますが、『源氏物語』の主人公・光源氏のモデルの1人は道長であると言われています。そして望月の歌とほぼ同じ月が昇る日の翌日、17日放送予定の第44回では、まさに望月の歌が詠まれる様子が描かれるそうです。 ※3…なお、より正確性を求めるならば、2025年12月5日の月が、直近では最も望月の歌に近い月となります。これは19太陽年が235朔望月とほぼイコールとなるメトン周期で計算されます。 平塚市博物館は、「#道長と同じ月を見上げよう」というハッシュタグをつけ、11月16日の月を観察し、SNSで共有しよう、というキャンペーンを呼びかけています。月は容易に観察できる天体であり、だからこそ普段はあまり意識して見上げることが無いかもしれません。同博物館の学芸員である塚田健氏は、これを機会に月を観察するだけでなく、撮影した写真とハッシュタグを付けてSNSなどに投稿することを呼び掛けています。 月の光は変わらないものの、人の世はとても移ろいやすいものです。解釈の1つ「望月の歌は栄華の儚さを詠んだ」に沿うかのように、藤原氏は院政への移行と武士の台頭という体制の変化の中で、政治の実権を失うに至りました。 一方で月に対する見方は、今や眺める対象から探査する対象へと大幅に変化しました。1959年にはソビエト連邦の月探査機「ルナ3号」が初めて月の裏側の撮影に成功、1969年にはアメリカの「アポロ11号」の乗組員が人類で初めて月面に降り立つことに成功しました。 太陽系の外側に手が届く現代でもなお、各国は月の探査を競い合っています。2023年にはインドの「チャンドラヤーン3号」が月の南極付近に初着陸、2024年には日本の「SLIM」による極めて精密な無人機の着陸、中華人民共和国の「嫦娥6号」が月面の裏側のサンプルリターンに初めて成功しています。現在最も関心が高い月探査計画の1つは、アポロ計画以来の有人月面探査となる「アルテミス計画」であり、2020年代の終わりまでに人類を再び月面に送り込む予定です。 普段は宇宙探査や歴史に関心がない人も、2024年11月16日はぜひ、1000年前を想像しながら月を眺めてみてはいかがでしょうか。 Source “藤原道長が見上げた満月を見よう!”.(平塚市博物館) “藤原道長が見上げた満月を見よう! 参考資料”.(平塚市博物館) “塚田健氏のX(旧Twitter)でのポスト”. “小右記”.(国立公文書館) “華やかな平安宮中の世界”.(藤田美術館)
彩恵りり / sorae編集部