「脱走に噛みつきも」元Jリーガー・永里源気 重度の知的障がいと自閉スペクトラム症を持つ中学2年の長男との現在
──そんなふうに周囲の意見に真摯に耳を傾けることができるご性格は、昔からですか? 永里さん:いや、全然です(笑)。昔はめちゃくちゃ我が強くて短気だったので、選手時代はコーチの言うことも聞かなかったし、「うるせえよ」とか「こっちはこういうプレーをやりたかったんだよ」みたいな感じでした。「こんなやつ絶対ダメだよね」と思われてしまうようなタイプだったので、今になってすごく後悔しています(笑)。 今でも少し我が強い部分はありますけど、ぼくが変わったのは、やっぱり大和の存在が大きいと思います。大和はコミュニケーションがとれないし、自分のことを自分でできない。そんな息子を見ていて、「今は何をしてほしいんだろう。どういう気持ちを伝えたいんだろう」と考える時間がすごく増えたんです。大和がぼくの知らないことを伝えてくれることで、いろいろな目線で物事を見る習慣や、周りの人からのコミュニケーションを受け入れようとする姿勢が身についてきたのかなと思います。
PROFILE 永里源気さん 1985年12月16日生まれ。湘南ベルマーレユースを経てトップチームに昇格。その後、東京ヴェルディ、アビスパ福岡、ヴァンフォーレ甲府などで活躍した。22歳のときに結婚し、4児の父に。現在は地元・神奈川県厚木市で療育特化型「放課後等デイサービス Athletic club ハートフル」を開設しており、少年サッカーチームやスクールも運営している。元女子サッカー日本代表の永里優季さん、永里亜紗乃さんは実妹。
取材・文/長田莉沙 写真提供/永里源気
長田莉沙