13回のお辞儀、20回の感謝…広島一筋21年青山敏弘が伝えたラストメッセージ「もう自分は必要ない」
今季限りで現役を引退する広島の青山がホームのラストピッチ
現役生活21年、ワンクラブに情熱を注ぎ続けた広島のバンディエラがユニフォームを脱ぐ。サンフレッチェ広島の元日本代表MF青山敏弘は12月1日、ホーム・エディオンピースウイング広島で行われたJ1リーグ第37節北海道コンサドーレ札幌戦(5-1)後に、現役引退セレモニーを実施。自身の現役生活を支えた周囲への20回感謝を伝え、13回頭を下げた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞) 【実際の映像】「こんなの泣くしかない」青山敏弘から川辺駿へ…背番号「6」が継承された感動の瞬間 ◇ ◇ ◇ あふれだす涙をこらえることはできなかった。岡山・作陽高から2004年に入団して21年、紫を纏い、チームの中心に立ち続けた男。この日は、後半37分からホームのラストピッチに立った背番号6は主将マークを巻いて、大声援を受けた。広島のユニフォームに輝く4つの星、すべてをもたらした泣き虫のキャプテン。2012、13年のJ1連覇と15年3度の優勝、22年のルヴァンカップ制覇……。すべては青山とともにあった。 大けがにも悩んだ21年の現役生活、青山からのラストメッセージは、“らしく”感謝を伝えた15分間だった。 「私、青山敏弘はこの尊敬するサンフレッチェ広島で現役を引退させていただくことになりました」 岡山で所属したクラブ、作陽高校での時間、プロ生活での指導者、ともにプレーした先輩、同期、後輩たちへ1人ずつ思いを述べた。 そして、自身の思いを継承した。背番号6。大事につけてきたこの番号を名指しで受け渡した。 「駿(川辺)。あとお願いします。頑張ってな」 続けて、支え続けてくれた家族、サポーターに感謝の思いを伝えた。 「大けがも何度もしました。苦しいことも何度も味わいました。でも何度でも立ち上がることができたのは皆さんがいたからです、成功へ導いてくれました。ずっとみなさんに認めてもらえるようにプレーしてきました。みなさんの笑顔のためにプレーできることが何よりの幸せでした」 広島の夜空に6度舞った。ただまだ終わりではない。最終節のガンバ大阪戦で優勝の可能性が残されている。 「今日の試合を見てもう自分は必要ないなと思いました。サンフレッチェ広島本当に強くなりました。そのすべてをみなさんと見てきました。まだ終わってないと思いますけどね。みなさん準備できていますか。覚悟はできていますか。神様が言っていますよ、俺らに優勝しろって。大阪行くぞ! 優勝するぞ!」 旧友のFW佐藤寿人氏、DF千葉和彦、FW李忠成氏がサプライズ登場すると涙がこぼれた。日本代表の森保一監督から「サンフレッチェ広島で監督になって」とメッセージも届いた。愛と感謝でスタジアムが包まれた青山らしい引退セレモニーだった。
FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi