2025年度の新しい共通テストは「時間との闘いになる」 変更点と対策は?
大学入学共通テストは2025年度から、高校の新しい学習指導要領に合わせた新課程の内容に移行します。何が変わり、受験生はどのような対策をすればいいのでしょうか。専門家に聞きました。 【写真】早稲田の現役比率が3割から7割へ 浪人は絶滅危惧種になるのか?
2つの要素が混在している変更点
現行の共通テストは、21年度に大学入試センター試験から移行しました。知識を問うだけではなく、グラフや表などの資料を多用したり、問題に会話形式を導入したりするなど、より読解力や思考力を試される内容に変わっています。 25年度の共通テストは、高校の学習指導要領が22年4月から改訂されたことに伴う、最初の試験になります。新学習指導要領では、生きる力を身につけるため、主体的・対話的で深い学びを行い、思考力、判断力、表現力を養うことを目的にしています。 25年度の共通テストの変更点について、河合塾教育研究開発本部の近藤治・主席研究員は、こう話します。 「新課程になったことで科目ごとに変更点がありますが、それには2つの要素が混在しています。一つは新課程に変わったための変更、もう一つはセンター試験から共通テストに変更された流れをくむ変更です」 25年度からの新課程の共通テストは、従来の6教科30科目から7教科21科目になりました。大きな変更点は以下の5点です。
●国語:実用的な文章題を追加
国語は大問が1問増え、試験時間が80分から90分に延長されます。 「これは、センター試験から共通テストへの移行の延長線上にある変更です。より思考力・判断力の測定を重視するのでしょう。大学入試センターが公表している試作問題を見ると、実用的な文章が使われています。今までの現代文は小説、評論から1題ずつ出題されていましたが、異なるタイプの題材が加わりそうです」 実用的な文章とは、たとえば契約書のようなもので、試作問題では気候変動が健康に与える影響をテーマに、図やグラフを多用した出題がされています。現代文が1問増えることで配点も変わり、これまで「現代文:古典」の配点は「100:100」だったのに対し、「110:90」になります。暗記科目に近い古典で点数を稼いでいた受験生は、不利に感じるかもしれません。 一方で、国語が苦手な受験生にとっては、朗報と言えるかもしれません。 「国語でなかなか点が取れない受験生の多くは、小説の登場人物の心情や、評論文の作者の言いたいことなどを読み取る読解力が求められる問題が苦手です。実用的な文章なら社会科の要素が強く、グラフの読み取りのほうが自信を持って答えられるケースもあるでしょう。実際に河合塾の模試では、全体的に点数が良かったですね」