モデルは1型のみ 大手シューズメーカー出身のデザインデュオが手がける街履き専用スニーカー「CLEMENS(クレメンス)」
ブランド名の由来もユニークだ。 「ヨーロッパでは割とよく耳にする昔ながらの人名です。あえてこうしたブランド名にしたのは、誰がどこで作っているか、といったナショナリティを特定されたくなかったから。発音したときの響きの良さも気に入っています」(物延さん)
「プロダクトを作る」という矜持を込めたオリジナルのソール
CLEMENSが展開しているのは「GU_RE01」と名付けられたモデルのみ。 「『GU』とはアッパーを意味します。履き口に伸縮性のあるネオプレン素材を使っているのですが、その筒状のかたちが「ガンジーセーター」[1]のネック部分に似ているので、こう呼んでいます」(物延さん)
「RE」はソールの名称だ。 「ソールは完全オリジナルです。私たちのような規模のブランドで、最初からソールまでを手がけるブランドはまずありません」(物延さん) オリジナルソールには相当のコストがかかる。たとえば、8サイズを展開する場合、ソールを形成する金型だけで合計16面もの用意が必要になる。また、ミッドソールの厚みや硬さ、アウトソールのパターンなど設計に関するノウハウも不可欠だ。 「私たちの基礎にあるのはプロダクトデザイン。だから、CLEMENSのスニーカーもファッションアイテムというよりは、プロダクトなんです。そのこだわりの象徴がソールです」(大谷さん)
ソールの正式名称は「REBAR」。英語で「鉄筋」を意味する名がつけられたソールは立体的な構造が存在感を放つ。 ミッドソールの厚みや硬さはタウンユース用に調整されており、幾何学的なアウトソールのパターンはぬれたコンクリートの路面でも優れたグリップ力を発揮する。
ソールのかかと部分が巻き上がっているのも特徴的だ。 「トレイルランニングで斜面を下っていくときって、かかと部分に岩が当たってダメージを受けやすいんです。都会でも階段を下りるシーンは少なくありません。補強の意味合いを込めて、こうした形状にしました」(大谷さん)