【56歳 原田知世さんインタビュー】年齢を重ね「こうしなきゃ」はもういらない
原田知世さんが「冬」をテーマに制作したミニ・アルバム『カリン』。幅広い世代のアーティストたちとのコラボレーションで生まれた楽曲は、大人世代にひときわ懐かしく、温かな感触をもたらす。彼女が歌に込めるもの、そして、その歌声と佇まいの変わらぬ透明感の秘密に迫る。 【写真】有名人が語る!大人の心に響く言葉
年齢を重ねた今、「こうしなきゃ」はもういらない
――11月27日発売の『カリン』は、冬がテーマの6曲を収録した、2年ぶり22枚目のミニ・アルバム。11月生まれの原田さんにとって、やはり冬は好きな季節ですか? 原田知世さん(以下、原田) 昔から好きです。特に、自分の誕生日からクリスマスまでがいちばん……街も華やいでいますし、自分の生まれた時期というのは、きっと自然にエネルギーが湧くんでしょうね。ですから、「冬」というテーマはすごく楽しみで。曲を作っていただくアーティストの方々にお伝えしたのは、基本的には冬というテーマのみで、あとは自由に発想していただきました。 ――先行配信された『カトレア』の作詞・作曲を手掛けた川谷絵音さん(「Indigo la End」「ゲスの極み乙女」など)は、原田さんへの曲提供は2曲目になります。 原田 前回のアルバム(’22年3月リリース『fruitful days』)に提供してくださった『ヴァイオレット』は高音域の曲でしたが、今回はあえて低めのトーンに。歌詞にも川谷さんらしい遊びがあって、聴いた方はきっと「え、今何て言ったの?」と驚かれるんじゃないでしょうか(笑)。前回と今回、2曲とも違うタイプの曲ですが、心の中には情熱が溢れていても表面上はすごく静かに……川谷さんの曲を私が歌うなら、そんなふうがいいのかなと思いました。 ――今回、初参加されたアーティストのおひとりは、シンガーソングライターの藤原さくらさん。『朝に』は、日常の気づきの一瞬を捉えた美しいナンバーです。 原田 とても詩的で、素敵な歌詞ですよね。彼女が選ぶ言葉は、どこか自分が書くときのそれと近いような気がして……あまりいろいろと考えなくても、自然にメロディーに委ねて歌うことができました。川谷さんやさくらさんなど、少し世代の離れたアーティストとコラボレーションするのは、今の私にとってすごくいいことだなと感じています。皆さんの作風に共通するのは、どこか懐かしさを感じるということ。歌詞やメロディーの中に、私もリアルタイムでは聴いていなかった60年代の日本のアーティストたちの、エヴァーグリーンなエッセンスが滲み出ているようでした。