謎のスマホ「青い空」とは何なのか? 北朝鮮のスマホを触ってみた
なお2つのSIMカードスロットはどちらもアクティブであり、2つのSIMカードを装着して香港で通信テストを行ったところ、どちらの回線も利用可能でした。北朝鮮では海外渡航が難しいこともあり、現地ではnanoSIMカード、またはmicroSIMカードの片方だけが使われていたのではないかと思われます。
本体のスペックは不明なので、スマートフォンの性能チェックアプリを野良インストールして調べてみました。チップセットはメディアテックのHelio P22(2.0GHz)、ディスプレイ解像度は1,520×720ピクセル、バッテリ容量は2,420mAh、OSはAndroid 9とのこと。カメラは高解像度で撮影したところ6,240×8,320ピクセルの写真が撮れたので、5,000万画素を搭載していることになります。 本体を実際に操作してみます。プリインストールアプリからAOSPモデルのようです。またアプリストアはありません。北朝鮮ではアプリは店舗でインストールするとの話があり、必要ならばそうしているのでしょう。唯一オリジナルと思えるアプリは「メモジ」(便せん)です。
システムを見るとデフォルトの端末名は「P2」となっていました。背面の指紋認証センサー、フロントカメラを使った顔認証のロック設定もできます。設定言語には朝鮮民主主主義人民共和国と大韓民国が分かれています。
カメラで写真を撮影してみました。広角カメラ1つだけというシンプルな構造で、通常の撮影では5,000万画素を1,200万画素にピクセルビニングしています。2020年当時のエントリーモデルでもこのクラスのカメラ搭載モデルは他にあり、相応の性能と言えます。
さてこのスマートフォン、実際に北朝鮮で販売されたものなのか、それとも輸入される前のものなのかは不明です。おそらく現地で販売されるときは追加アプリが入れられているのでしょう。また2020年当時の製品であるため、本製品から最近の北朝鮮でのスマートフォンの使われ方を直接知ることはやや難しいかもしれません。大熊氏によると2024年に入り北朝鮮でもアプリを使ったサービスがスマートフォンで利用できるようになってきているとのこと。国内限定のSNSサービスもあるかもしれません。 スマートフォン本体だけを見ると、WEBブラウザがあるのでアプリを追加せずとも直接ネットサービスを使うことはできそうです。エンタメ関連を見ると音楽プレーヤーもあります。 唯一のオリジナルアプリと言えそうな便せんアプリはメモを書いたり、そのメモに写真を貼り付けることができます。このメモはメッセージやBluetoothで送信も可能ですが、SMSで送る場合はテキストだけになってしまうと思われます。日常的にメモを取ったり写真を貼り付け、それを友人たちと会ったときにシェアする、といった使い道はできそうです。