「質量」と「重さ」は同じではないの...?「詰まっている物の量」で考えたら、じつにシンプルだった「納得の意味」
「物質」の場合は?
もう一つ、別の例を紹介しておきます。 こんどは、バッグ(とその中身)のような物体ではなく、純粋な「物質」を考えます。純粋な金属は物質であり、膨大な数の「同じ原子」から構成されています。たとえば、「銅」は膨大な数の「銅原子」だけからできています。 まったく同じ形と体積をもつ、二つの金属を考えます。具体的には、まったく同じ円柱形(シリンダー型)をした、同形・同体積の純粋な鉄と純粋なアルミニウムを考えましょう。両者ともに、円柱の内部に空洞はないものとします(図「まったく同じ形と体積をもつ二つの金属で考える」)。 同形・同体積のこの状態で、鉄とアルミニウムとではどちらが重いでしょうか? 日常的な感覚からもおわかりのように、同形・同体積なら鉄のほうがアルミニウムより重いのですが、それがなぜだか説明できますか?
「質量」のイメージをつかむ
答えは、同じ体積中に、鉄のほうがアルミニウムよりいっぱい“物”が詰まっているから。先ほどのキャリーバッグの例と同様に、この「詰まっている物の量」が「物質の質量」なのです(つまり、鉄原子のほうがアルミニウム原子より質量が大きい)。 誤解のないようにしていただきたいのですが、「物の量」は重さではありません! たとえば「リンゴ五つ」が、「重さ」を表していないのと同じです。 「質量」のイメージが、少しつかめてきたでしょうか。 重力のからくり――相対論と量子論はなぜ「相容れない」のか 自然界を支配する4つの力の中で、最も身近で最弱の力。 この宇宙に現在の構造をもたらした最大の貢献者でありながら、なぜか「標準模型」に含まれない異端児=「重力」。 素朴な問いから「物理学最大の難問」まで一気読みさせる好著!
山田 克哉