12月2日から紙の保険証の新規発行停止<マイナ保険証>移行による高齢者への影響は?【社会福祉士解説】
訪問診療やオンライン診療でマイナ保険証として利用できる?
医療機関・薬局が行う訪問診療等、オンライン診療等におけるマイナンバーカードの保険証利用については、すでに2024年4月から運用が開始されています。また、訪問看護事業者が行う訪問看護においても、2024年6月から運用が開始されています。
介護施設での運用はどうなる?
介護施設で生活している場合、ご本人の身体状況にもよりますが、従来の健康保険証を施設側が預かって管理しているケースが多くあります。 従来の保険証からマイナ保険証に切り替わることで、かなりの個人情報の管理が施設側に課せられることになります。鍵付きロッカーで保管し、出し入れの記録を行うなど国の運用マニュアルはありますが、現実的ではなく、紛失のリスクは避けられないでしょう。当分は「資格確認書」との併用が現実的といえそうです。
マイナ保険証の高齢者にとってのメリット・デメリット
最後にマイナ保険証のメリット・デメリットを改めて確認しておきましょう。 メリット「初診料の節約にもなる」 ・受診時の様々な手続きの申請管理が楽になる。・薬の履歴や過去の特定健診の情報提供に同意すると総合的な診断が受けられるほか、重複する投薬を回避できる。・救急搬送時や避難時に、患者の診療情報等を迅速に把握できる。・高額医療費の一時的な自己負担や限度額適用認定証の申請手続きが不要になる。・マイナポータルから保険医療記録が参照でき、医療費控除申請の手続きが楽になる。・保険者証類(健康保険被保険者証、国民健康保険被保険者証、高齢受給者証等)、被保険者資格証明書、限度額適用認定証、限度額適用、標準負担減額認定証、特定疾病療養受療証等の持参が不要となる。・初診料等の医療費の節約(3割負担:6円、2割負担:4円、1割負担:2円)となる。 デメリット「毎回提示が面倒」 ・毎回受診時に提示が必要(現行の保険証は月1回の提示だった)・持ち歩く頻度が増えるので紛失の心配があり、紛失・盗難による不正利用のリスクも。・再発行には窓口への訪問が必須で最短で約5日かかる。・マイナ保険証を導入していない診療所なども一定数あるので注意が必要。・マイナンバーカードの有効期限(発行から10年間・18才未満は5年、電子証明書は5年間)が切れると、マイナ保険証の有効期限も切れるので更新手続が必要。 参考/マイナンバーカードの健康保険証利用対応の医療機関・薬局等についてのお知らせ
「マイナ保険証』高齢者への影響は?【まとめ】
後期高齢者をはじめ、マイナンバーカードをもっていない人や、マイナンバーカードの健康保険証の利用登録をしていない人には、現行の保険証のかわりに「資格確認証」を利用することになります。不安なことあれば、自治体に問い合わせをしてみてください。 初診料の節約につながるなどメリットも多い「マイナ保険証」ですが、高齢者にとって暗証番号を毎回入力するなどの作業は難しいこともあるでしょう。高齢者自身も介護をしている家族、介護施設にとって、マイナ保険証がスムーズに使いこなせるようになるまでは、しばらく時間と経験が必要になるかもしれませんね。