気象庁「高解像度降水ナウキャスト」 どう活用すればいいの?
この夏も狭い範囲に集中して雨が降る“ゲリラ豪雨”が頻発しており、各地で大きな被害が発生しています。気象庁では、このようなゲリラ豪雨に対する被害を最小限に食い止めようと、今年の8月7日からホームページ上で「高解像度降水ナウキャスト」の提供を開始しました。
250メートル四方を30分先まで予測可能に
高解像度降水ナウキャストとは、ナウ(現在)とフォーキャスト(予測)を組み合わせた言葉で、従来からある降水ナウキャストよりも更に解像度が上がり、高い精度で小さな雨雲の発生や予測を行えるようになりました。今後はゲリラ豪雨など、突発的な雨雲の予測に大いに力を発揮していくものと思われます。 では、詳しく見ていきましょう。 新たに始まった高解像度降水ナウキャストでは、従来からある気象ドップラーレーダーに加え、気象庁・国土交通省・地方自治体が保有する全国約10,000カ所の雨量計データ、ラジオゾンデなどの高層観測データ、国土交通省のXバンドレーダーなど、様々なデータを活用することにより、降水域の分布を250メートル四方の細かさで、5分ごとに30分先まで予測出来るようになりました。従来の降水ナウキャストでは1キロ四方であったため、解像度は一気に16倍に上がったことになります。これにより、数キロ程度しかないような小さな積乱雲の発生や予測もほぼ正確に行えるようになりました。 例を挙げると、例えば新宿で局地的な雷雨となっている状況から、30分後にはその雨雲が更に活発化し、銀座に激しい雷雨をもたらすというような予測を行うことが出来ます。
スマホでもOK 早めの避難行動の一助に
更に、山や川などでのキャンプ、野球やサッカーなどの試合会場で、上空は晴れているのに西の空が暗くなってきた。もしかしたら、このあと雷雨になるのか?というような場合でも、自分で簡単に予測をみることが出来ます。晴れていても、早めの避難行動を起こすための一助となることは間違いないでしょう。では、どのように使えば良いのでしょうか? 気象庁のホームページ上で高解像度降水ナウキャストのコンテンツを選びます。 慣れるまでには少し時間がかかるかもしれませんが、分かってしまえば、とても簡単です。自分の今いる場所を指定して予測を行うことができ、また雨雲の予想に加え、30分後の強雨域や雷の活動度、竜巻が発生する可能性なども、合わせて表示することが出来ます。更に、地図上には市町村名をはじめ、道路や鉄道、河川なども同時に表示することが可能なため、自分の見やすいように自分だけの表示の仕方を工夫することが出来るのです。 スマートフォン上でも同様の機能が使えますので、高解像度降水ナウキャストをうまく利用して、ゲリラ豪雨などの対策に役立てて頂きたいと思います。 (杉江勇次/気象予報士、ウェザーマップ)