101歳の化粧品販売員トモコさんが伝授する、人間関係が上手くいくコミュニケーション術。ポイントは、相手との距離が「近すぎないこと」にあった
厚生労働省が公表した「高年齢者雇用状況等報告」によると、令和5年6月時点の70歳以上の常用労働者数は約93万人だったそう。そのようななか「人が喜ぶことが自分の幸せ。これからも生きている限り、大好きな仕事を続けていきたい」と語るのは、101歳で現役の化粧品販売員として働いている堀野智子さんです。今回は、堀野さんの著書『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』から一部引用、再編集してお届けします。 【書影】おばあちゃんセールスレディの「言葉のサプリメント」が、疲れた心を元気にしてくれる!堀野智子『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』 * * * * * * * ◆話し上手は聞き上手 相手の話はとことん聞く これまで61年間、お客様とは本当に親しくお付き合いをしてきました。 私の現在のお客様は高齢の人ばかり。昔はよくお客様の自宅に商品をお届けしたものですが、最近は営業所から送ってもらうことが多くなってきました。特に新型コロナが蔓延したときは、さすがに顔を合わせてお話しする機会が、ガクッと減りました。 その代わりというわけではありませんが、お電話はよくかかってきます。 私と同じように旦那様が亡くなって1人暮らしの人や、お子さんたちと暮らしていても話題が合わないなどで、話し相手を求めている人が多いんです。 長いお付き合いで、お互いのこれまでをよく知っており、化粧品を介しての関係でもある私には電話しやすいらしく、いろんなお客様からよく電話がかかってきます。
◆相手が気のすむまで電話でおしゃべり 私は今、以前に比べて家の中で過ごすことが多くなっていますが、じっとしているのが性に合わないので、家の中でも何かしら用事をしています。1人暮らしということもあり、時間的な余裕はたっぷりありますからね。 だからお客様から電話があると、ほとんどの場合、何時間でもお相手の気がすむまでお話をするんです。お客様は私の事情を知らないので、うちに来客があるときでも電話してきますが、私が根気よく相手をするので、驚かれることが多いです。 総じて人は、自分が話したい生き物だと聞きました。他人の話を聞くよりは、自分の話を聞いて欲しいという気持ちのほうが強いともいわれます。 私自身は話すのも聞くのも「お互い様かな」という気持ちです。人は自分のことになると無自覚なもの。ときには自分も話を聞いてもらいたい気持ちがまさり、相手の話が耳に入って来ないこともあると思うのです。 だから、たとえ相手の話が長くなっても、「自分もそういうときがあるからね」と思い、聞くようにしています。 心がけているのは否定したり批判したりしないこと。「正しい」とか「間違っている」とか、一概には言えませんよね。その人の置かれている状況などで、変わってくると思うのです。 それに他人は自分とは違う経験をしているので、話を聞くのが単純に面白いというのもあります。とはいえ、あまりに長話になると、逆にうちに来てくださっているお客様に失礼にあたるので、いつもよりは短く切り上げるようにはしていますが……。
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