101歳の化粧品販売員トモコさんが伝授する、人間関係が上手くいくコミュニケーション術。ポイントは、相手との距離が「近すぎないこと」にあった
◆人間関係は近すぎず遠すぎずがいちばんいい 電話といえば、昔、私に何くれとなくツンケンしてきた同僚が、ある時期からよく電話をしてくるようになりました。 こう言っては失礼ですが、キツい性格の人だったので、あまりお付き合いしてくれる人がいなかったようなのです。 電話で話した感じから、どうも認知症になっているらしく、そのため私を毛嫌いしていたことを忘れていたのかもしれません。 いつものごとく、相手が満足するまで、うんうんと話を聞くようにしていました。 あるとき、その人が入院していると聞いたので、お見舞いに行ったところ、娘さんから「母がいつもお電話していたようですみませんでした」と言われました。 するとその人が「私、電話したことなんか一度もないから!」と言うのです。このときばかりは、「あんなに電話してきて同じ話をしていたのに……」とガクッときました。 そんなふうに来るもの拒まずで受け入れるので、よく他の人から「そんなに誰にでも愛想をよくしているのに、付け込まれないのが不思議だね」とも言われます。 ある人から「堀野さんは誰でも受け入れるけれども、きちんと線引きをしているんだよね。だからとても親切だけど、相手が『この人なら付け込んでもいいかな』と思ってしまうようにはならない。天性の付き合い上手だね」と言われ、「なるほど、そうなんだ」と思いました。
◆近すぎるとお互い傷ついてしまう 自分自身が人にもたれかかろうと思わないので、相手にももたれかかられることがないのかもしれません。 長く仕事を続けてこられた理由の1つには、「人との距離が、近すぎず遠すぎずだったから」があるのかなとも思います。 人と人との距離は、よく「ハリネズミ」にたとえられますよね。近すぎるとお互いを傷つけあう、という意味です。 その通りだなぁと思います。親しいからといって、あまりに相手のプライバシーに踏み込みすぎるのは、結局のところお互いにとってよくありません。 かといって、せっかく人と人が関わり合うのだから、水くさいままなのもつまらないものです。 過剰に相手のことを知ろうとせず、今、自分が相手に差し出せるものを惜しみなく差し出す……そんなふうにしていたら、おのずと人間関係はうまくいくのではないでしょうか。 ※本稿は、『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。
堀野智子
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