森林が空気中の「マイクロプラスチック」を“捕獲”していた! 日本女子大学の研究で“新事実”が明らかに
■葉からマイクロプラスチックを取り出す方法を開発! 宮崎教授らは、まず葉についたAMPsが雨で洗い流されているかを調べてみた。すると、葉から流れてきた雨水には、AMPsは含まれていなかった。このことから、葉についたAMPsを水で洗い流すだけでは十分に集められないことがわかった。では、どうしたらうまく集められるのだろう? 木の葉にさまざまな物質がくっつくのは、葉の表面が油でできたワックス(エピクチクラワックス)におおわれ、裏面には細かい毛(トライコーム)が生えているためだと考えられる。 水で洗い流すだけでは、これら両面にくっついたAMPsを引きはがせないのではないか。そう考えて、次のように3段階の方法を用いることにした。 (1)水で葉の表面のAMPsを洗い流す (2)超音波を使って水中の葉を揺すり、葉の細かい毛にからみついているAMPsを振るい落とす (3)アルカリ性の水溶液(水酸化カリウム)を使い、ワックスごとAMPsを洗い流す 2022年6月と8月の2回、コナラの葉を計144枚採取し、この方法を試してみると、結果は大成功。余すところなくAMPsを集めることができた。 ■日本のコナラ林全体なら約420兆個も捕獲と推計 集められたAMPsを「顕微フーリエ変換型赤外分光法」という最先端の分析手法で確かめ、数えた結果、葉の表面1㎠あたり0・13個のAMPsがくっついていることがわかった。1枚の葉のサイズを約15㎠とすると、1枚あたり約2個のAMPsがついていることになる。宮崎教授はこの結果から次のようなことがいえると考えている。 「日本全体のコナラ林(約3万2500㎢)では、年間約420兆個ものAMPsが捕まえられていると推計されます。ほかにもさまざまな樹木がありますから、森林は二酸化炭素を吸収するだけでなく、空気中のAMPsの吸収源としても、大きな役割を果たす可能性が高いことがわかりました」