日本とフランスでこんなに違う「パリジェンヌスタイル」。ボーダーに赤い口紅は見かけない
SNSや雑誌などもよく目にする「パリジェンヌスタイル」。じつは日本人が思うパリジェンヌスタイルと、フランス人が実際に着ている服装には違いがあるそう。フランス文化研究者・翻訳家のペレ信子さんに、周りのおしゃれなフランス人を見て思う、本当の「パリジェンヌスタイル」についてレポートしていただきました。 【写真】真っ赤な口紅のパリジェンヌ
パリジェンヌの象徴は「ボーダーのTシャツ」?
新型コロナ感染症が落ち着いて、観光客がパリに戻り始めた2年ほど前から、外国人のイメージする「ザ・パリジェンヌ」的な服装の観光客がパリに増えてきました。そのスタイルの筆頭に上がるのがボーダーのTシャツだと思います。確かにボーダーはフランスぽくてシックなイメージがあります。 もともとボーダーのTシャツはフランス海軍の制服だったそう。太いボーダーは海上にいても遠くから見分けがつくのがその理由だということです。主に海辺のブルターニュ地方やノルマンディー地方ではボーダーの服がよく取り入れられていたそうで、1912年にノルマンディーのドーヴィルに出店したシャネルがボーダーをコレクションに取り入れてからシックなイメージに変わったと言われます。 パリの観光客が多く着ているボーダーですが、これはパリジェンヌも好きでワードローブの基本に入っていると思います。人気ブティックの新作にも必ずボーダーのTシャツやセーターを見かけますが、パリジェンヌは人とかぶらないようにヴィンテージから探したり、アクセサリーをつけたり工夫しているようです。
フランス人といえばなんと言っても「ベレー帽」
世界中で人気のドラマ『エミリー、パリへ行く』に出てきた、ベレー帽をかぶったエミリーの愛らしいファッションが記憶に残っています。パリで観光客が多い界隈のお土産物屋さんでもたくさんのカラフルなベレー帽がエッフェル塔のキーホルダーと共に売られているのをよく見かけます。 ボーダーのTシャツを着てベレー帽をかぶった観光客がセーヌ川の橋の上で自撮りする、というのはよく見る風景で「ああ、観光客だな」と一目でわかります。そのせいでしょうか、パリジェンヌがベレー帽を被っている姿はあまり見ない気がします。 とはいうものの、今ほどベレー帽を被った観光客が多くなかった何年も前のある寒い日のこと。待ち合わせに現れたパリジェンヌの友人が、トレンチコートの襟を立てて、ストールを巻き、ベレー帽をちょこんと頭にのせるのではなく、シックな色合いのベレー帽を耳まですっぽりとかぶっていたのがとてもすてきだったんです。 ベレー帽をかぶる人が今では全くいなくなったわけではなく、フランスのおじいさんたちが防寒のためや作業するときにかぶっているのを見かけます。そして、おしゃれな人はハッとさせられるかぶり方をしているなと感じます。