3年前に亡くなった母と再婚した父が交通事故で死去しました。私には「父の財産を相続する権利がない」と言われたのですが、どうすればいいのでしょうか。
結婚するカップルのうち、4分の1が再婚といわれています。ステップファミリーになった際、よく話し合っておきたいのが養子縁組についてです。もし養子縁組をしていないと、遺産相続のときに困ることが。豊富な実務経験がある税理士でマネージャーナリストの板倉京さんが、お悩みを基に解説します。 【画像】認知症の父から無限「電話地獄」 色を活用した張り紙で良い兆候が 実際の様子 ◇ ◇ ◇
法律上の親子ではなかった由美さんとお父さん
遺産相続の制度は、とても杓子定規。制度を理解しておかないと、困ったことになりかねません。 「父が交通事故で亡くなったのですが、私には父の財産を相続する権利がないと言われました」 女子大生の金田由美さん(18歳・仮名)からの相談です。 「そんなことがあるのだろうか?」と戸籍を確認してみると、由美さんと亡くなったお父さんには、血のつながりがありませんでした。 由美さんが3歳の頃、お母さんが再婚。そのお母さんも、3年前に亡くなっています。つまり、由美さんはお父さんにとって「実の子」ではなく結婚相手の「連れ子」であり、法律上の親子ではなかったのです。
養子縁組をしておらず、遺言状もないため由美さんに相続権はない
由美さんも、自分が母親の連れ子であるという事実は両親から聞いて知っていました。しかし、父と15年以上親子として暮らしてきたこともあり、血のつながりがないから相続する権利がないなどと考えたことはなかったといいます。 確かに、法律上の親子関係がない連れ子に相続権はありません。母親が入籍しただけでは、連れ子は父親の法律上の子どもになれないからです。 由美さんがお父さんの財産を相続するためには、お父さんとの「養子縁組」の手続きが必要でした。でも、残念ながらその手続きはとられていなかったのです。両親ともに亡くなってしまった今、なぜ養子縁組をしなかったのか、理由はわかりません。 亡くなったお父さんは47歳でした。まだまだ若く、自分がこんなに早く亡くなるなどとは考えていなかったのでしょう。遺言書の用意もしていませんでした。 そのため、法律上の相続人であるお父さんのお姉さん(由美さんが養子縁組していれば義伯母)が遺産を相続するほかありません。お姉さんは由美さんを不憫に思い、相続した財産のほとんどを譲ってくれると言っているそうです。 しかし、相続権のない由美さんが、遺言書などがない状態で相続財産をもらうことはできません。この場合は一度、お父さんのお姉さんが遺産を相続し、その財産を由美さんに贈与するという形になります。