ジェフ千葉”次世代超大型FW”の櫻川ソロモンが衝撃デビュー!
ジュビロを皮切りにコンサドーレ札幌、アルビレックス新潟で指揮を執り、2017シーズンからツエーゲンを率いる柳下正明監督はジェフの先発メンバーに驚き、試合前のミーティングでできる限りの情報を与えた。そのなかで未知の存在だった櫻川のプレーに、ちょっとした驚きを覚えている。 「起点になるプレーでしっかりとボールを保持していていたし、ジャンプしての競り合いではすべて勝っていたんじゃないかな。彼の役割だったと思うプレーに関しては、しっかりとできていた」 例えば後方からのロングボールや縦パスは、すべてが櫻川を標的にしていた。そのなかで相手ディフェンダーのプレッシャーを背後から受けながらもほとんど動じず、その上で足元の柔らかいボールタッチを駆使してフォローしてきた味方へ落とすプレーを何度も披露している。 前半33分の追加点にも、櫻川は間接的に絡んだ。左サイドからMF為田大貴があげたクロスへ、櫻川が猛然とニアサイドに突っ込む。巨体の動きにツエーゲンのセンターバック石尾峻雅がつられ、背後にぽっかりと空いたスペースへ落ちてきたボールに佐藤がこん身のダイビングヘッドを見舞う。強烈な一撃は左ポストに嫌われたが、こぼれ球をルーキーのMF見木友哉が押し込んだ。 「最初のころはちょっとぎこちなかったが、勝負にいくほどに相手へ勝つようになり、あのゴールが生まれた。この1試合ですべてを評価することはちょっと違うが、この1試合をきっかけに本人がもっと努力をするのであれば、もっといい選手になるだろう」 サガンやセレッソでも厳しい指導で名を馳せた尹監督は、及第点の活躍を演じた櫻川の評価に対して慎重な言い回しに終始した。ただ、年間42試合の長丁場となるJ2戦線を、過密日程のもとで戦っていく今シーズンにおいて、10人もの選手を入れ替えて敵地で勝利した意義をこう語る。
「多くの選手たちをどのように活用していくのかを、これから考えていく必要がある」 途中から投入された5人を含めた16人の選手のうち、7人が今シーズン初出場だった。勝利という大団円で終えた冒険を介して、今後も計算できる戦力を「探し当てた感じがする」と喜んだ指揮官が描く戦略に、櫻川は先制弾とともに大きなインパクトを与えた。櫻川自身も言葉を弾ませる。 「シーズンの早い段階で出場機会をもらうことができたし、このチャンスを生かして出場機会を、そして自分のゴールも増やしていけたら。連戦が続くのでチームのみんなでいい準備をして、スタメンの選手も控えの選手も含めた全員で戦っていきたい」 荒削りながらもデビュー戦で見せつけた無限のポテンシャル。そして、J1でもなかなか見られない相手守備陣を畏怖させるオーラ。過密日程のなかでプレー時間が増え、櫻川に搭載される2つの魅力がさらに光り輝く状況が生まれれば、11年ぶりのJ1復帰を願うジェフのファン・サポーターだけでなく、大型ストライカーの誕生を待つ日本サッカー界にとっても大きな楽しみが増えていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)