「変動金利型」ローンを抱えている人はヤバい…今までの考え方は通用しない!金利ある時代の家計の常識
「変動金利」のローン……メリットがあるのは金融機関
もちろん「変動金利が上がらなければ損をしてしまうことになる」というデメリットもある。 「心配なのは、日銀が強硬に利上げを進めていった場合、景気がどうなるか。日本は景気後退に陥ると考えている市場参加者がけっこういるんです。 景気後退に向かうという予想が強まると、短期金利が高いまま先に長期金利が下がってきます。そうすると、長期金利が短期金利より低い逆イールドの状態になる。過去の例を見ると、けっこうあり得るケースです。 逆イールドになった後は、基本的には政策金利の引き下げが想定され、連動して変動金利も下がるので、固定金利への借り換えが得策にならない可能性が出てきます。 実は、アメリカでは逆イールドが2年ほど続いているんです。8月の初めに一時的に解消しましたが、再び逆イールドに戻っています」 ということは、アメリカでは変動金利で住宅ローンを借りている人は、固定を選んだ人より利払いの負担が大きいのか、と思いきや……。 「アメリカでは、固定金利の割合が約9割とされています。変動金利のユーザーが多いのは日本だけなんです。 ちなみに、変動金利のローンは金融機関がリスクを取らない商品です。つまり、借りる側にリスクを負わせている。固定金利に関しては、金融機関もリスクを取っています。たとえば『フラット35』は最長で35年間は返済額が一定で、この先どれだけ金利が上がっても金融機関が全てかぶるというローンなんです。 にもかかわらず日本でここまで変動金利型の割合が高まったのは、長期間にわたって超低金利が続き、いつの間にか『金利はこの先も上がらない』という見方が主流になってしまったからではないかと。 でも実は、金利は上がりも下がりもするし、変動金利はかなりリスクが高い。それが今ようやく顕在化し始めていると言っていいんじゃないでしょうか」 「金利のある世界」は、住宅ローンの変動金利型と固定金利型の選択にも影響を及ぼすことになりそうだ。 ◆「資産を増やすよりリスクを減らす!」……金利のある時代に必要なのは「守りの姿勢」 金利上昇による家計へのプラス効果についてはどうか。日銀の利上げ後、預貯金の金利は上がり始めている。 「今後、政策金利が1%に上がればかなりの円高になる可能性があって、そうすると日本経済にとってはネガティブに働きます。このような景気の先行きがどうなるかわからない状況では、資産を増やすより守ることを考えるほうが得策かもしれません。 資産を守る防衛策としては、個人向け国債が一番いいと思います」