「変動金利型」ローンを抱えている人はヤバい…今までの考え方は通用しない!金利ある時代の家計の常識
住宅ローンの主流は「固定金利型」に? アメリカでは9割が固定金利
日本銀行の’07年以来となる利上げにより復活した「金利のある世界」。’26年には政策金利1%もあり得るとの見方も出ている。 【実銘柄公開】実はNISAでも「金(ゴールド)」が買える! 価格上昇が止まらない「金」に賢く投資 長く続いた超低金利にすっかり慣れてしまった日本。これから経済はどうなっていくのか。金融商品や家計にどんな影響が出てくるのか。ファイナンシャルプランナーの松岡賢治さんに聞いた。 日銀の植田和男総裁は、政策金利0.25%への引き上げを決めた7月31日の金融政策決定会合後の記者会見で、経済・物価情勢が見通しに沿って推移すれば「引き続き政策金利を引き上げていく」と述べた。 その後、日銀の利上げとアメリカFRB(連邦準備制度理事会)の利下げ示唆を契機に金融市場が急変。日銀は火消しに走り、内田真一副総裁が今月7日の北海道函館市での講演で「金融資本市場が不安定な状況で、利上げすることはない」と明言した。 追加の利上げはあるのか、ないのか。 「短期金融市場の参加者の大部分は、’25年の3月までに日銀は政策金利を0.25%引き上げて0.5%にするだろうと見ています。そして’25年の9月か10月に再び利上げをし、0.75%にする。さらに、’26年の3月末頃には1%まで引き上げると予測するエコノミストも少なくないようです。 政策金利が上がると、金融機関で扱う金融商品の金利に影響します。まず、ローンを抱えている人は負担増となる可能性が高いです。なかでも家計にとってかなりの逆風になりそうなのが、住宅ローン金利の引き上げでしょう」 住宅ローンには大きく分けて、半年ごとに金利が見直される「変動金利型」と金利が一定の「固定金利型」2つの金利タイプがある。 変動金利は、日銀の政策金利をもとに決まる「短期プライムレート」(以下「短プラ」)にほぼ連動している。多くの金融機関は短プラに1%程度の一定幅を上乗せし、住宅ローンの「基準金利」を決める。短プラが上昇すると基本的に変動金利の基準金利も上がり、実際の借り入れ金利である「適用金利」に反映されることになる。 一方の固定金利は、10年物国債の利回りを指標とする「長期金利」をもとに決められる。つまり、長期金利が上昇すると、そのまま固定金利も上がるわけだ。 「今回の日銀の利上げを受けて、一部のネット銀行が変動金利を引き上げています。auじぶん銀行は、変動金利の基準金利を0.25%引き上げると発表しました。メガバンクや地方銀行はすでに短プラの引き上げを発表しているので、変動金利も上げると見ていいと思います」 現在、住宅ローン利用者のおよそ8割が変動金利型を選択しているとされる。ところが、みずほリサーチ&テクノロジーズは4月の時点でこんな試算を発表している。 金利のある世界(日銀が’24~’26年にかけて3ヵ月に1度のペースで0.25%ずつ利上げしたと仮定)では、「家計は将来の利払い負担増加リスクを回避するために、変動金利型から固定金利型へシフトしていく」とし、金利の上昇に合わせて新規借り入れで変動金利型ローンを選ぶ割合も縮小し、’26年度には固定金利型が8割になると想定している。 「現在、固定金利型住宅ローンの『フラット20』の最低金利は1.46%です。返済期間があと20年で、住宅ローン減税の控除も終わっていて、1.46%の金利負担に耐えられるなら、変動から固定への借り換えも十分ありだと思います。 もし借り換えるのであれば、早いほうがいい。借り換えには、月の返済額が確定することで金利上昇を気にしなくて済む、今後の教育費や老後資金の準備などライフプランが立てやすいといったメリットがありますから」