20代でも要注意!「老眼」は生産性を奪う 眼科医が解説、自分でできる対策とは
老眼を自覚したら「すぐに」老眼鏡をつくる
――老眼は誰もが避けられないものですが、症状の進行を遅らせるなど、個人でできる対策はあるのでしょうか。 目の疲労には作業時間が最も大きく影響するため、まずは目を使う量を減らすことが重要です。仕事で見る量をコントロールすることは難しいかもしれませんが、休み時間や帰宅後にゲームをしたり動画を見たりする時間は減らせるはずです。 アメリカでは「20:20:20の法則」といって、20分仕事をしたら20秒以上、20フィート(約6メートル)以上離れた場所を見ることが推奨されています。そこまでは難しくても、1時間作業をしたら少し遠くを見たり、コーヒーを飲みながら軽く同僚と話したりするなど、画面から目を離す習慣を身につけるといいでしょう。見る対象は緑や自然である必要はまったくなく、数メートル離れた場所であれば、ビル群などでも問題ありません。 紙とデジタルで見えやすさにほとんど違いはないのですが、デジタルは背景が光っている分、目が疲れやすくなります。対象物が小さければ小さいほど疲れるので、大きいモニターで見る、印刷して紙で読む、文字を12ポイントくらいまで大きくする、明朝(みんちょう)体など細い書体ではなくUDフォント(ユニバーサルデザインフォント)を使う、などといった工夫をするだけでも、目の負担を軽減できます。目は横方向のほうが動かしやすいため、スラスラ読みたい場合は縦書きではなく横書きにしたほうが、読み取りは早くなります。 また、老眼を自覚したら、すぐに老眼鏡をつくることを推奨します。ギリギリまで先延ばしにしようとする人がいますが、早くに老眼鏡を使い始めたからといって、老眼が進行することはありません。 眼鏡の性能という意味では、近いものを見るときは手元用、遠くを見るときは近視矯正用というように、眼鏡を複数つくっておくといいでしょう。シーンに合わせて掛けかえなければならない手間が発生するので、遠近両用眼鏡を使用するのもいいですね。業務内容やライフスタイル上「どの距離をよく見えるようにする必要があるか」に合わせて眼鏡をつくることをお薦めします。 例えば、パソコンの画面と目の間の距離は50センチ程度、本やタブレットは30センチ程度、スマートフォンの場合は20センチ程度、テレビであれば1メートルから2メートル程度です。ほとんど一日中パソコンのモニターを見ている場合は、「遠近」両用ではなく「中近」両用(50センチから20センチの距離にあるものが見えやすい)レンズにするほうが使い勝手がよいはずです。一方、車の運転や人前でプレゼンテーションをする機会が多い場合は、数メートル離れた看板や人の表情もしっかり見える必要があるでしょう。 漠然と「老眼鏡がほしい」と眼科医や眼鏡店に伝えるだけだと、自分が見たいものが思ったより見えない眼鏡が作られてしまう場合もあります。眼科で何が見えるようになりたいか、どの程度の距離を見ることが多いかなど、希望を伝えて個別最適な眼鏡を作るといいですね。