ポルシェ911がついにハイブリッドモデルに! 電動化した新型911にスペインで初試乗
ポルシェのスポーツカーの試乗会には、サーキット走行が欠かせない。舞台は会員制サーキットとして名高いアスカリレースリゾート。全長約5.5kmの本格コースだ。サーキットでは、クーペボディの「カレラGTS」、「カレラ4GTS」というRR(2WD)と4WDを比較する。GTSには、車高を10mm下げたスポーツサスペンションと可変ダンパーシステム(PASM)、そしてこの新型から四輪操舵のリアアクスルステアが標準装備になっている。さらにオプションのポルシェダイナミックシャシーコントロール(PDCC)も装備していた。これは走行状況にあわせてロールを抑制してくれるもので、安定して走りやすくなる。
スポーツカーにおけるハイブリッド化の指針となる存在
電動化の恩恵はアクセルレスポンスにあらわれており、ペダル操作に瞬時に反応してくれる。そして回頭性は極めて高く、わずかにステアリングを切り込むだけで向きが変わるPDCCをオンにしておけばロールも少なく、何事もないようにコーナーを曲がっていく。2WDと4WDとの挙動の違いは少なく、4WDだからアンダーステアが強いといったこともない。ニュートラルに旋回し、立ち上がりの際にはフロントタイヤに力強い駆動力を感じる。何よりもポルシェの魅力のひとつはブレーキの制動力にあるが、オプションのポルシェセラミックコンポジットブレーキ(PCCB)のフィーリングは圧巻だった。
ポルシェの本社広報によると、ハイブリッド化に関して顧客やファンから懸念する声が多くあがっていたという。しかし、どうやら心配の必要はなさそうだ。このハイブリッド車に予備知識なしで試乗すれば、すごくよく出来た自然吸気エンジンだと思う人もいるはず。それほどにナチュラルなフィーリングだった。今回の911のハイブリッド化は、スポーツカーが未来へと受け継がれていくひとつの指針となるはずだ。
文/藤野太一 写真/ポルシェAG