ポルシェ911がついにハイブリッドモデルに! 電動化した新型911にスペインで初試乗
今年5月28日、ポルシェ911初のハイブリッドモデルが世界初公開された。今回の新型モデルは2018年にデビューした現行911(タイプ992)の後期型にあたるもので、通称992.2と呼ばれる。その国際試乗会が7月初頭スペイン・マラガで開催された。
911が「GTS」からハイブリットを採用した理由とは?
ポルシェは電動化に積極的なブランドだ。2020年には初のBEV(電気自動車)タイカンを発売。今年はBEV第2弾となる新型マカンを投入する。またカイエンやパナメーラではすでにラインアップの半数をPHEV(プラグインハイブリッド)が占めており、2030年には新車販売の8割をBEVにするという目標を掲げている。そうしたなかポルシェの首脳陣も最後まで内燃エンジンが残るのは911になるだろうと公言していた。
そして2024年5月、911はマイナーチェンジを機にハイブリッドモデルの導入を開始した。ただしすべての911モデルをハイブリッド化したわけではない。いまのところ新型が発表されているのはスタンダードな「カレラ」とハイパフォーマンスバージョンの「GTS」の2モデルだが、前者は従来と同様の3リッター水平対向6気筒エンジンを搭載する内燃エンジン車であるのに対して、後者のみがハイブリッド仕様になった。
まずは欧米で人気の高い、ビジネスとしても重要な意味を持つGTSから将来の排ガス規制対応を見越しつつ、かつパフォーマンスを高めるためにハイブリッド化したというわけだ。ポルシェはこのハイブリッドシステムの名称を「t-hybrid」としている。「t」とはターボの意というから、エコであることよりパワーを付加するものという狙いであることがわかる。 電動化における最大の懸案事項は、重量がかさむこと。一般的に同型の内燃エンジン車とPHEVを比べると+200~300kgなんてモデルもざらにある。SUVやサルーンならまだそれも許されるが、スポーツカー、ましてや911ではそうはいかない。開発チームによると、車両重量1600kgを切ることをひとつの開発目標とし、後述するさまざまな工夫をこらしたという。その結果、従来モデルに対しての重量増は約50kg、新型「カレラGTSクーペ」のカタログ値の空車重量(DIN)は1595kgと目標値に収まっている。