なぜカーリング43歳の“最強”リザーブ石崎が涙するメンバーに「ちゃんと銀メダルを喜ぼう」と声をかけたのか
最終投でスーパーショットが求められるほど、それまでの試合運びで苦戦を強いられている証となる。後攻の第6エンドは、それを象徴する結果となった。 藤澤が第1投で絶妙のドローショットを決めてNo.1を置けば、ミュアヘッドもすかさずドローショットを決め返してNo.1を奪う。迎えた藤澤の最終投はイギリスのNo.1だけでなく、それまでNo.2だった日本のストーンをもわずかに動かしてしまう。 入れ替わる形でNo.2になったイギリスとの差は数cmほど。複数得点がほしかった場面で1点に終わったなかで、続く第7エンドで戦況が大きく動いた。 ミュアヘッドに第1投でダブルテークアウトを決められ、イギリスのストーンが3つ、日本のそれが1つという状況で迎えた藤澤の最終投。狙いとは大きくそれて、11時の方向から真っ直ぐにハウスへ入っていった。シート上に日本語が響きわたる。 「落ちちゃった。落ちちゃった」 「ダブルとかになんない?」 「それでもダメだわ」 おそらくはNo.1ストーンを置くはずのショットに、ドローがかからない。ならばダブルテークアウトに作戦を変更しようとストーンの軌道をチェックしたものの、ハウスの後方で戦況を見つめていた知那美からは悲観的な声が飛んだ。 結果はイギリスのストーンがそのまま残り、日本が投げたストーンは外に出てしまった。致命的なミスショットを、イギリスが見逃すはずがない。ミュアヘッドは最終投でまず自分たちのストーンに当て、玉突きで日本のストーンを弾き出す作戦を選択した。 完璧なプロモーションテークアウトが決まった結果、ハウスのなかにはイギリスの黄色いストーンだけが4つ残った。試合の大勢を決めるビッグエンド。後攻の第8エンドも1点にとどまった日本は、複数得点を奪えないまま頂上決戦を終えた。 決勝のショット成功率は、78%の日本に対してイギリスは89%だった。個人別ではサードが、知那美の64%に対してビクトリア・ライトが89%。ともにスキップが務めたフォースは藤澤の69%に対して、4年前の3位決定戦の最終投でまさかのミスを演じ、ソチ五輪に続く銅メダル獲得を逃した雪辱を期すミュアヘッドが88%をマークした。
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