海外メディアは北京冬季五輪をどう総括したのか「ワリエワのドーピング“スキャンダル”と問われる五輪の存在価値」
北京冬季五輪が幕を閉じた。91の国と地域、約2900人が参加した大会の閉会式が20日、通称“鳥の巣”と呼ばれる国家体育場で行われた。新型コロナの猛威が続く中で開催された大会は、日本が過去最多となる18個のメダルを獲得する大躍進を遂げた一方で、フィギュアスケートのカミラ・ワリエワ(15、ROC)のドーピング違反発覚のスキャンダルやジャンプ混合団体で起きた高梨沙羅ら女子選手の「スーツ規定違反問題」、ショートトラックのジャッジを巡っての抗議など様々な問題が露呈した大会でもあった。海外メディアは、北京冬季五輪をどう総括したのか。
シンプルな閉会式では羽生結弦の映像シーンも
閉会式もシンプルだった。春節の終わりを告げるランタンをスタンドに配置。スタジアムの全面に敷かれた1万1600平方メートルの巨大なLEDスクリーンを使った美しい光と氷のショーが演出され、テレビ中継ではAR(拡張現実)技術を使って空中にバーチャルの巨大な「赤い中国結び」も登場した。 ベートーベンの「交響曲第9番(第九)」に乗って選手団が入場。日本からはフィギュアの男女メダリスト、午前中のカーリング決勝で銀メダルを獲得したロコ・ソラーレのメンバーらが出席。フィギュア・ペアで7位に入賞した三浦璃来(20)、木原龍一(29、ともに木下グループ)の“りくりゅう”ペアがリフトを披露してセレモニーを盛り上げた。 大会を振り返るハイライト映像では、フィギュアで4位に終わった羽生結弦(27、ANA)の4回転アクセルに挑戦して転倒したシーン、そして成功した場面もピックアップされて中国での人気を反映するかのように招待客が拍手を送った。 「長い」と不評のIOCのトーマス・バッハ会長のスピーチは約9分。緊迫するウクライナ情勢を示唆するかのように「五輪の結束する力は分断する力より強い」と政治的メッセージを付け加えるシーンも。中国の有名歌手やタレントなどの出演もなく、ミラノ/コルティナ五輪への五輪旗がバトンされ、近未来を思わせる映像を使った4年後の大会の紹介パフォーマンスののち、約90秒間、花火が打ち上げられた。「天下一家」「ONE WORLD ONE FAMILY」の文字が浮かび上がり、小さな聖火がその灯を落とした。 海外メディアは、それぞれの論調で大会を総括したが、ワリエワのドーピング違反に象徴されるスキャンダルの部分を批判する声が多数を占めた。 米スポーツイラストレイテッド誌は「論争と腐敗によって存在感を失い、問題を抱えた北京五輪が終了を迎える」との見出しを取り、「五輪の価値を信じたい人々にとって、この2週間は厳しいものだった。失望を感じる多くの理由があった」と報じた。 同誌は、大会に失望を感じた理由をこう列挙した。