両親は旧車持ち「恵まれた環境だった」 刷り込まれた日産のDNA…中学時代に憧れた名車を入手
「出かけるのは車のイベントがほとんどだった」
旧車イベントに行くと、若いオーナーの姿もたびたび見かける。流行のハイブリッドや電気自動車(EV)には目も向けず、我が道を突き進んでいる。その背景はさまざまだが、両親とも旧車乗りという英才教育を受けてきたのが、34歳の大久保佑馬さんだ。詳しい話を聞いた。 【写真】日産の技術が光る貴重なローレルのエンジン室、ハンドル周り、リアショット…実際の写真 リーゼントヘアーにスカジャンという組み合わせの大久保さんは、妻とその父、1歳の娘を連れて旧車イベントに参加していた。 愛車は1989年式日産ローレルHC33型だ。購入したのは10年前だった。 「きっかけは中学の頃に近所に同じローレルが止まってたので、それで一目ぼれですね。学校の裏の車屋さんに不動で止まっていて、ずっとほっぽらかしてあった。車高が低かったのが印象的で」 20代前半になり、インターネットでローレルを探していたところ、埼玉の店で発見。もともとオートマの車だったが、マニュアルに載せ替えており、希望と合致していた。価格は78万円。憧れの1台を手に入れ、「やっぱうれしいの一言でしたね。セドリック、グロリアとは違うんですけど、やっぱ大きくて安定してるなっていうのが乗った時の所見でした」と心は弾んだ。 一方で、初めて自分で車を購入するにあたり、アドバイスをくれたのが両親だった。 「最初スカイラインのヨンメリとかケンメリが欲しいというのも言ってたんですけど、もう維持できない、生まれた年と同じ年ぐらいの車のほうがいいんじゃないかっていう助言もあった。平成3年のブルーバードがうちにもあって、それがファミリーカーだったので、同じ平成初期の車にはすごく親しみもあったし、自分の中ではこれぐらいの車のほうが落ち着く感じです」 ブルーバードは母が所有。父も車種名を伏せる旧車乗りで、子どもの頃から両親の影響を色濃く受けてきた。 「2人とも旧車を持ってたので、物心ついた時から家に古い車がある環境があった。親がニスモフェスティバルとかニューイヤーミーティングとかがすごい好きで、小さい頃から行っていた記憶があります。出かけるのは車のイベントがほとんどだったので、自然と古い車のほうが魅力的に思っていました。要は、刷り込みですよね(笑い)」 両親はともにマニュアルの日産車。そのDNAを受け継いだ息子がローレルに興味を持ったのも経緯を考えれば納得だ。 そのローレルについては、「特に言われることはないんですね」と話すが、カスタムにあたっては一つだけ“金言”を受けている。 「ボディーをいじるな、とは言われました。オーバーフェンダーつけたり、たたき出ししたりはだめと言われたので、フェンダーもノーマルでいじらずです」 全国各地で行われている旧車イベントは参加資格に厳しいルールがあり、違法改造車は締め出されることがほとんどだ。 「乗るならボディーをいじらないほうがいろんなイベントに参加できるって言われて。今思うと、そうだなっていう気はします」