ウクライナ軍とロシア軍がクルスク州で同時に攻勢 相手の牽制が目的か
ロシア西部クルスク州でウクライナ軍が昨年8月につくり出した650平方kmほどの突出部の周辺で5日、ロシア軍とウクライナ軍がそれぞれ別の方面で同時に攻撃を仕掛けた。 一方の攻撃は他方の攻撃の妨害を狙った可能性もあるが、どちら側がそれを狙ったのかは明らかでない。ウクライナ側はロシア側が新たに攻撃してくるのを察知していたのか? あるいは、ロシア側はウクライナ側が反撃に出ようとする予兆をつかんでいたのか? 現時点では判然としない。目的や結果を含め、状況が明らかになるには数日かかるかもしれない。 ロシア軍は、突出部北西周縁のマラヤ・ロクニャ、レオニードボ、スベルドリコボといった村々の付近に対して、装甲車の大部隊で攻撃を始めた。 現地で従軍しているウクライナ海兵隊のドローン(無人機)操縦士、Kriegsforscher(クリークスフォルシャー)によると、攻撃にはロシア軍第155独立親衛海軍歩兵旅団、第810独立親衛海軍歩兵旅団、第106親衛空挺師団の部隊が参加し、装甲戦闘車およそ40両が投入された。ウクライナ軍がクルスク州に侵攻して以来、ロシア側による「最大規模」の攻勢だとKriegsforscherは伝えている。 ウクライナ軍の旅団や、Kriegsforscherのチームを含むドローン部隊は昨秋以来、突出部の北西周縁でロシア軍の突撃部隊を数え切れないほど撃退してきた。ロシア軍部隊は繰り返し、突出部に通じる数本の道路を突進してくる。ウクライナ側はそれを予想し、地雷やミサイル、大砲、ドローンを組み合わせて撃破している。 ロシア軍の装甲車40両ほどが出動したのと同じころ、突出部の北の中間地帯にあるベルディン村に向けて、装甲トラックや歩兵戦闘車に乗り込んだウクライナ軍部隊が進撃した。地雷除去車数両に先導されたこの部隊は、ウクライナ軍第95独立空挺強襲旅団の所属かもしれない。 ロシア軍のドローンがウクライナ軍の車両に群がり、数機が命中した。ドローンの一部はジャミング(電波妨害)を受けない光ファイバー通信タイプだった。