ウクライナ軍とロシア軍がクルスク州で同時に攻勢 相手の牽制が目的か
ウクライナ側は奇襲に成功か
ウクライナ軍は3kmほど前進した可能性があるものの、獲得した土地に塹壕を掘って保持できるかは不明だ。もしウクライナ側の攻撃が成功し、ロシア側の攻撃が失敗したのだとすれば、その違いは攻撃が奇襲だったかどうかに起因するのかもしれない。 ロシア軍は少なくとも昨年10月以来、同じ旅団や連隊が週に何度も、突出部の同じ方面を攻撃している。その突撃では装甲車を多用しているが、こうした車両は見つかりやすいため、とくに敵のドローンに弱い。ロシアのある軍事ブロガーは、ロシア側の機甲部隊による攻撃では「誰も目標に到達できない」と嘆いている。 ウクライナ軍が攻撃した方面はこのところ戦闘が比較的穏やかだったので、奇襲効果が大きかったのかもしれない。米フィラデルフィアにある外交政策研究所のアナリスト、ロブ・リーは「ロシアの一部のチャンネルは最近、クルスク付近でウクライナ軍が増強しており、攻勢に出る可能性があると警告していた」と指摘している。だが、増強は攻撃地点から十分離れた場所で行われていたらしく、そのためロシア側は対応した防御を準備できなかったようだ。 さらに、ウクライナ軍の突撃では地雷除去車が先導し、歩兵の輸送は装甲トラックや歩兵戦闘車に頼っていたものの、これらの輸送車両は歩兵をできるだけ早く降ろしてすぐに自陣側に引き返したもようだ。 ロシアの別の軍事ブロガーは、ウクライナ軍の車両は「回転木馬」のように兵士を運んで降ろすと説明している。ウクライナ側はこうした輸送方式や激しいジャミングによって、ロシア側のドローンによる損害をゼロにはできなくとも、最小限に抑えられるかもしれない。
David Axe